出席者:島田菫(13)、佐藤美里菜(14)、畔田涼(16)、原衣織(15)、秋津文美(19、司会)
2007年2月4日

 校則が厳しい学校もあれば、制服もなく校則らしい校則がない自由な学校もある。子どもにとって校則は必要なのか? 理想的な校則とはどんなものか? 記者が通うそれぞれ学校の例を出し合い、校則の意味、必要性について話し合った。

校則はある? ない? 服装の場合

文 美 :皆さんの学校の校則についてですが、服装についての規定が一番わかりやすいと思うので現状を教えてください。

菫 :特に規定はありませんが、生徒指導の先生に「こういうふうにしなきゃいけない」「ああいうふうにしなきゃいけない、ダメだったら部活停止」と口頭で言われます。

涼: うちの学校は私服でも制服でもいいのですけれども、「私服で来るのであれば、社会人としての意識を持って、自分の行動に責任を持たなくてはいけないよ」と指導されます。

文 美: 社会人としての意識は具体的にどういうこと?

涼 :入学式などで先生ではなく、生徒会の人が「自由だけど、その自由っていうものを捉え違えないでね」とアドバイスするんです。

美里菜: 私の学校は、「髪の毛はちゃんと結ぶ」「結ぶゴムや留めるピンも黒か紺か茶」。スカート丈は膝にかかる長さで、靴下も指定。もし違反してきたら先生に取りあげられます。

文美: 校則が明確に決まっていない学校は規律が口頭での注意と自覚、自意識によって守られていると思うんですけど、「守らなきゃいけない」という意識はあるの?

菫 :ないですね。怒られることもほとんどないから。

涼 :私の学校は私服なのでブーツをはいてきてもいいんです。でもブーツとかをはいてくると下駄箱にブーツが入らない。そうするとブーツを下駄箱の上に置いたりするんですね。そういったことが風紀で話し合いになったりすることはあります。そこは校則というよりモラルの問題なのかもしれないですね。

美里菜: うちは校則で束縛されているから、生徒の中で校則に関して話し合うことはないです。

文 美: 持ち物が先生に「没収」されて、そのまま返してもらえないことがあるけれど、そういうことってあってもいいのかな?

美里菜: それが気に入らないならこの学校に入らないでください、と返されてしまうので、みんなとりあえず従っています。

文 美: でも学校入る時に校則見せてくれないよね?

美里菜: 没収しますとは書いてないですよね。

校則がなくても自主規制で行動できる?

文 美 :校則がゆるくてはなきに等しい学校にいる人は校則に厳しさを求めることはありませんか?

菫: 校則はなくても、やっちゃいけないことっていうのが次から次へと出てくるし、たぶん生徒手帳に書いたらすごい量になるくらいあると思うんですよ。だから厳しいと感じることはあっても、緩いと感じることはないですね。

文 美: やっちゃいけないことがどんどん増えていくんだ。

涼: 厳しいとそれに従っているだけで自分の意見を言ってもしかたがないって思っているから考えないけど、自由だと自分の意見っていうものをちゃんと言わなきゃいけないし、それに対して自分で責任を持たなくちゃいけないとなる。その責任を持つことは社会人としては普通のことなのかもしれないけれど、高校にとっては難しい。でも学生のうちから慣れていくことも必要だと思います。

美里菜: 校則が厳しいと、学校に守ってもらっているようなものだけれど、私の学校の場合は厳しすぎるのかなと思ったりします。ただ守ってもらっている分、いざ自分でやろうと思った時にできるかといったら、難しいかもしれない。

衣 織: 私の学校は校則っていうのはなくて、全部生徒の自主規制。セーターの色も決まってないんだけれども、あんまり派手な色だと自分の制服に合わないからってことで、みんなだいたい落ち着いた色になっている。自分たちで考えられるからこれぐらい緩くてもいいかなと思います。

美里菜: はみ出したことをして、その結果、人に迷惑かけて、学校の名前にも影響あるかもしれないけど、結局それは全部自分に返ってくるし、学習することができるからいいんじゃないかなと思います。

涼: 自由だと自分で考えなくちゃいけないことが多くて、とても大変なことだとは思うんですけど、いちいち厳しく言われてそれに反発を持って暮らすよりかはいいと思います。

菫: 普通の常識の範囲内であれば、それを破るっていうことは学校のルールじゃなくて、社会のルールにも反することになるから、そこの部分だけを校則で規制した方がいいと思います。ソックスを白の三つ折りにしなきゃいけないとか、そういう意味のない厳しいのはない方がいいと思います。

文 美: タバコを吸うとか社会のルールとかっていうのは校則で縛ってもらわないとできないことなのかな。

美里菜 :学校の規則としてあって、学校から出されるっていうふうに思うと防げることなのかも。

菫 「校則がないなら別に何したっていいじゃないか」とか「校則破ったって怒られるぐらいでたいしたこともないんだし」と思っちゃう人がいるかもしれないから、「校則で禁止されているからダメ」と、なぜ悪いのかっていうのを説明できるからあった方がいいと思います。

校則は必要か?

文 美 :「校則は緩い方がいいけれど、なかったら困る」。つまり必要なのね?

美里菜: 中学生は責任が取れる範囲が狭いので、多少学校からの締め付けがあった方が、必要かなと思います。

涼 :海外の場合、私服で中学生でも小学生でも私服で通っているじゃないですか。「そんな生徒たちは社会のルールを守れてないか?」というと、そうじゃない。だから制服があるから社会のルールが守れるとしてはいけないと思います。自分自身が自覚持てるような人間になるためには、校則を緩くして、社会に甘えることができないんだよってことを教えていく方針に変えたほうがいいかなと思いますね。

衣 織: うちの学校の自主規制は、生徒のなかで「さすがにこれはまずいんじゃないか」「止めた方がいいんじゃないか」っていうのを生徒会などに出して、生徒の3分の2以上の承認のあと、自主規制っていうのになるんです。生徒が認めないとそれは規制にならない。もちろんそれを出す段階で「どうしてこれが自主規制に入らないといけないのか?」ってちゃんと説明されてから投票するから、それは納得できる。

文 美: 皆さんは自分の学校の校則に納得してないところもあるんだよね。

美里菜: もちろんあります。

文 美: 社会のルールからはみ出すとか、やっちゃいけないことをやったら自分に返ってくるって言ったけど、他校カバンという問題はどう? その学校ではあり得ないような格好をしていたとしても、カバンに慶応だとか早稲田だとか書いてあると、「あ、あの学校の生徒はこんなんなのね」みたいなふうになる。その結果、全然違う学校に被害が及ぶ。

菫 :社会のルールを破るっていうことは、人に迷惑をかけること。だから例えば他校カバンを持ち歩くっていうことはその学校に迷惑がかかるわけで、イコールそれは社会のルールに反する。だったらそれはいけないこと。これをすることで迷惑がかかる人がいるっていうことをしっかりとわきまえないとダメだと思います。

衣 織: でも他校カバンを持つ人はそんなこと考えていない。

美里菜: 確かにそういう意識がない人がそういうことをするんだと思うんですけど、でも結局は人に迷惑をかけている。そう思わない人はおかしい。「おかしいな」と自分で思えない人だったら、その先どんなことをしていて、自分に返ってくるんじゃないかなと思います。
涼 人に迷惑をかけるっていうのは社会のルールに反することだからわざわざ校則で規定することはないと思う、校則が厳しいと、校則がなくなった時に、「あれ、どこまでが校則でどこまでが社会のルール?」って分かんなくなっちゃうような気がする。

文 美 :それは何となくあるかもね。

衣 織 :でも中学とか高校に入った段階でちゃんと社会のルールの定義が分かっている子は少ないと思うから、まず校則で厳しさを示すことも大切だし。逆に校則がない中高に入って、その中で社会のルールを身につけるのもそれはまた大変だと思う。

文 美 :大変?

涼 :大変。私の学校は多少あるけれど、まったく無い学校だと大変だと思う。

文 美: 確かに世の中には、紺のゴムで髪の毛を縛らなくちゃいけないとかっていうルールはないけれど、じゃあ工場で働く時に髪の毛を結ばなくていいのか?というのもあるしね。
では、まとめます。中学生にとって校則は、緩い方が自分の考える力もつくので、厳しいよりは自分が納得できる、最低限の校則はあった方がいい。高校生においては、校則が厳しすぎると、どこまでが校則だか社会のルールだか分からなくなるので、もっと自分で考えるさせた方がいい。ただ、子どもだからまだまだ社会のルールについて知らないところもあるので、ある程度は学校のルールという形で見せてくれた方がいい部分もある、という感じでしょうか。