「Gap Year」を知っている?
2008/03/05 平吹 萌(16)
『 Gap year 』と聞いて、すぐにこれがどんなことを意味するかがわかる人が日本にはほとんどいないと思う。『 Gap year 』とインターネットで検索しても、出てくるサイトはほとんど英語で書かれているので簡単には読むことが出来ない。そんな現状からも、日本ではほとんど知られず普及されていない事が明らかである。
『 Gap year 』とは、高校卒業後に一年間外国でボランティア活動を行ってから、大学進学または就職をする制度のことである。この制度が一番有名なのがイギリスである。ウィリアム王子が『 Gap year 』を利用してニュージーランドでボランティアをしたニュースを知っている人もいるのではないだろうか。
では、なぜイギリスではこれほど一般的なのに、日本ではほとんど知られず普及しないのだろうか。理由は、その両国の教育制度や就職事情の違いである。
「イギリスでは、17歳で試験を受けてそのレベルによって大学が決まるので、大学側に何年度に入学するかは自分で選択できるし、大学のお金は国が負担しているので、休学扱いになったりする事はないのです。」と実際に『 Gap year 』に参加して、イギリスから日本へ障害者の介護ボランティアに来た、 Anna Pinsky さんはおっしゃっていた。
つまり、日本のように進学する大学を決める受験がないので、大学入学前に変化を求め、さまざまな経験をするのに外国に一年間行ってみるということが多いらしい。また、外国で経験を積むことが、将来就業時にプラスに評価される。日本では、新卒でないと就職は厳しいし、大学に進むために一番勉強をしている時期に海外で経験を積むことやボランティア活動を考える事はほぼ不可能である。私にとってこの制度は、とても魅力的に思えた。知らない国で、知らない言葉で、知らない人と生活をするという貴重な経験が出来るのである。しかし、日本ではむしろ、このような経験が将来の就職の際に不利になってしまう。それはとても残念である。
しかし、そんな厳しい日本からも『 Gap year 』に参加した石川さんという女性がいる。石川さんは高校卒業後ではなく、大学卒業後にイギリスの知的障害児のいる寮で働いていた。そんな石川桃子さんに「どうしたら日本でもポピュラーになると思いますか。」と質問したところ、「日本の大学の理解が必要だと思います。また、『 Gap year 』が日本であまり知られていないのがとても残念だと思いますね。」と言っていた。また、両者共に「言葉が通じないし、文字も読めないけれど、ジェスチャーをしたりすれば、なんとかコミュニケーションが取れたので、逆にそういう環境でよかったとも思います。」と私達が不安に思っていたことを良い思い出として語り、どんなに素晴らしい経験であったのかを話してくれた。国際社会に通用するインターナショナルな人材を育てるためにはこのような経験が必要である。そのためには、石川さんのような経験者や海外の事例がマスコミに取り上げられ、その良さが理解され 、 少しずつ広まっていくべきだろう。その第一歩として私達の記事がきっかけとなり、将来的にイギリスのような制度が日本にもできて欲しいと願う。私は、将来 ( 高校卒業後すぐは厳しいのでせめて大学卒業後にでも ) この制度に参加してみたいと思う。