2009/12/12 藤原 沙来(19)
日本政府は、気候変動に関する政策を一体、いくつ国民に示しているだろうか。気候変動とは何か、日本ではどのような影響があるのか、改善のために何をしたら良いのかなど、不透明な部分がいまだに多いのが実状である。 2009 年 12 月 7 日からコペンハーゲンで行われる COP15 (国連気候変動枠組み条約第 15 回締約国会議)が、まもなく開催される。もっと国が主体的に気候変動と向き合っても良いのではないだろうか。
2009 年 9 月 22 日、鳩山由紀夫首相は「 1990 年比で 2020 年までに、温室効果ガス 25 %削減を目指す」と国連気候変動首脳会合で、中期目標を表明した。それから数か月たった今、日本では気候変動改善に向けた具体的な削減方法や活動はまだ明示されていない。“主要各国が合意したら”という条件付きで表明したが、主要各国に合意してもらうためにも、“数値目標達成のために何をしなくてはいけないのか”を示す必要があるのではないだろうか。
政治家として以前から地球温暖化問題に関わり、民主党地球温暖化対策本部事務総長として講演などを精力的に行っている福山哲郎外務副大臣( 47 歳)に話を聞いた。
副大臣はまず「気候変動問題は長く厳しいチャレンジになる。温室効果ガスを 25 %削減するために何をしなければいけないのか、具体的な案を練っている最中」だと説明した。
新政府になって、まだわずかということもあり、政策作りのために必死に動いているようである。新たな政府として国民に伝えたいのは、「現状維持ではだめです。ポジティブに物事を考えて、多少負担がかかるとしても今の段階は、希望へのシナリオだと思ってほしい」ということだそうだ。
具体的な政策を考えている最中で具体的なことはまだ決まっていないと言うが、気候変動は政策を決めている時間にも深刻さは増し、待ってくれる問題ではない。今すぐに改善のために手立てを打たなければいけないのである。
そこで、今すぐにみんなで活動しようと呼び掛けたいところではあるが、実際は若者の気候変動への関心が低く、改善のための活動自体に意欲的ではない様子が見られることもある。そんな若者に対して福山氏は、「気候変動について知っている人が 1 人でも多くの人に伝える。若者ならではのネットワークを利用して改善のために何ができるのかを共有してほしい。さらに、将来気候変動問題に向き合うプレーヤーとして活動できるように意識を高く持ってほしい」と語った。押し付けたり強要したりせず、“エコはおしゃれなのだ”と感じてもらえれば早く広まるのではと提案もしていた。若者は若者に影響を与えられるよう、地道に活動していくことが求められているようだ。
では、今後政府は何をしていくのだろうか。気候変動問題に取り組むにあたり政府の課題は、「経済面と気候変動改善をどのように混ぜるかが課題。地球温暖化対策基本法の成立、将来を見据えたプロセスをどのようにするのか、また国民の理解をどう求めていくかということも課題」といくつか挙げた。これらの課題をクリアしていくために今、色々と策を練っているそうだ。
経済的な負担をかけることで技術開発が進み、再生可能な材料を使った原子力発電や風力発電などが将来可能になるかもしれないということから「未来につながるという思いを持って協力し合わなくていけない。国民にかかる様々な負担は将来への投資」と今後かかるかもしれない国民の負担についても話した。
政治家として気候変動改善のために今後やらなくてはいけないことはたくさんある。しかし、まず「数値目標に掲げた温室効果ガス 25 %削減のために何をしたら良いのかといった具体案は、きるだけ早く提示したい」と語った福山外務大臣。その言葉を信じたい。
温暖化は現実に起きている問題であり日々進行している。私たちが引き起こした問題は私たち自身で改善しなくてはいけない。改善する時は、将来ではなく、今である。“今”起こっている問題に“今”向き合わなくてはいけないのだ。地球に住む私たち自身が、危機感を持って、行動を起こさなくてはいけないのだ。政府が具体案を提示するのは COP15 前にともいうが、本当にあと数日間で日本の具体的な将来像が見えてくるのだろうか。
経済的なことなども絡み、簡単な問題ではないが、政府、国民、世界が一体となって改善しなくてはいけない問題なのだと改めて痛感した。
政府の積極的な行動案を期待して待ちたいと思う。