記者:寺尾佳恵(14歳)
中学受験塾のひとつ、日能研本部企画推進室室長の原和彦さんは、「塾としては知識の量を詰め込んでいればいいというわけではない。勉強は楽しいとわくわくして授業が聞けるような子にしなくてはいけない。塾も単語、言葉、解法、公式とかばかり教えているのではなく、自然科学、社会などの素晴らしさを教えなければならない」という。
新学習指導要領に変わってもあまり変化のないのは私立校だ。頌栄女子学院(東京都・岡見清明校長)では、教科書は公立の学校と同じものを使っているが、大学受験を考えた時に必要なことは、前の教科書や先生が作ったプリントを使って削られた部分をカバーしている。もともと土曜日が休みなので平日が7時限まであるのは土曜日の授業のぶんを平日に入れただけなのだそうだ。
今年から週5日制になった公立の学校、三鷹市立第六中学校(六中)の大嶺校長は、「人に指示をされて動くのではなく、自分で考えて動くような人間をつくっていきたい。、土曜日も大人の敷いたレールにのるのではなく、自分の時間としてのんびり使ってほしい。」という。
六中では、新学習指導要領が始まった時に混乱してはいけないということから、他の学校とも会議をし、また校内でも何度も話し合って、2年前から毎月研修会を行ってきた。今年3月には保護者への説明会も行い、地域の人たちと「学校運営連絡会」という会も作った。
「新学習指導要領になって、今までよりノート提出やレポートを増やし、思考力や表現力を見るようになった。学力は人と比較するものではないので、このように変わってよかったと思う。学力が低下すると言われているが、自ら学んでいく力こそが学力ではないか」と大嶺校長は言う。しかし一方で、「いくら小中学校の勉強の内容が変わっても、高校、大学の入試が変わっていかなければ何も変わらない。」とも語ってくれた。
今回取材をして、特に公立の学校が色々と準備をしてきたことがわかった。しかし最初からわかっていたことではあるが、始まってみるとやはり授業時間は足りないようだ。私も東京の公立中学に通っているが、先生方も毎日のように「時間が足りない」と言っている。
公立中学に通う生徒としては、できれば塾に行かず「学校の勉強をしていれば安心」というぐらいの勉強を学校でさせてほしい。しかし、新学習指導要領に変わってこれまでにはできなかった調べ学習などをできるようになったのだから、自分で考え・行動していく新学習指導要領の良い点を活かして、今までできなかったことを学んでいけばいいと思う。