青野 ななみ(19)

 現在日本は戦後最大の財政赤字を抱え、決して国にお金があるとは言えない。そのような状況の中、日本は5612億円という額をODA(政府開発援助)に使っている(2012年度予算、外務省HPより)。ODAとは、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による公的資金を用いた協力のことである(外務省HPより)。何のために日本はODAを続けているのか、続けていく必要が本当にあるのかを知るため、外務省、認定NPO法人難民を助ける会、駐日アンゴラ共和国大使館に取材をした。

 ODAを続けている理由の一つ目は、「絆」の形成にある。日本は関東大震災、世界大戦や阪神淡路大震災、記憶にも新しい東日本大震災など、これまで多くの震災や戦争を経験してきた。それらの復興の助けとなったのは世界中の国からの支援であった。「東日本大震災でこれほど多くの国からの支援があったのは、日本がこれまで国際社会に貢献してきた証」と外務省国際協力局政策課・外務事務官の杉村奈々子氏は言う。このように国際社会の「絆」としてのODAがある一方で、民間レベルでの「絆」もある。現在、ODAには長期間低金利で貸し出す有償資金協力と、返す必要のない無償資金協力など様々な形態がある。その中でも、緊急災害発生時にすぐに支援ができるよう即日、遅くとも数日以内にNGOにお金がいくようにするジャパン・プラットフォームという仕組みがある。「このような仕組みができたおかげで、NGOはすぐに現地へ向かうことができるようになった」と難民を助ける会の穗積武寛氏は言う。難民を助ける会は1979年に設立され、数々の海外支援を行っている。それらの事業の資金の一部は、外務省がODAのひとつとして提供している「日本NGO連携無償資金協力(N連)」を利用している。N連を使った事業のひとつに、タジキスタンでの車椅子の製造がある。障害者支援が制度として十分成り立っていないタジキスタンにおいて、車椅子の生産技術を向上させ、同時に、職業訓練をバラエティーに富んだものにしたという。このように、国だけではなく、NGOや民間企業のノウハウや技術を活用してODAを行っているのである。

 現在無償資金協力をしている国でも、経済発展に伴って有償資金協力へ移行することもある。そのひとつの例がアンゴラである。アンゴラは、約5世紀もの間ポルトガルの植民地支配を受け、その後1975年に独立を果たすも2002年まで内戦が続き経済が疲弊していたが、現在は石油やダイヤモンドの輸出等により毎年高い経済成長を遂げている(外務省HPより)。そのため、「これまでは無償資金協力のみだったが、これからは有償資金協力に切り替えていくことになった」と駐日アンゴラ共和国大使館・公使参事官のミゲル・ボンバルダ・ダ・クルーズ氏は言う。国の実状に合った資金形態へ変えることによって、より無償資金協力が必要な国に協力できるようにしているそうだ。

 ODAによって受益国が豊かになることはどのような意味があるのだろうか。 ボンバルダ氏と杉村氏が「ODAはgive&take(ギブ&テイク)である」と主張しているように、日本国民の税金を無条件に与えているわけではない。「経済が安定し、平和になり、国同士の関係を強化していける。他国を知ることができ、将来のビジネスがよりスムーズにできるようになる」とボンバルダ氏が言う。また、「アンゴラはアフリカの中でも有数の資源国であり、レアメタル(希少金属)や水資源にも恵まれているが、その資源を生かせる人材がいない」とも言った。資源を効率よく利用するための人材育成をODAによって行うことにより、アンゴラに天然視点の生産加工の効率性に貢献し、将来、日本はアンゴラで生産加工された原材料を輸入するようになっているかもしれない。このように、ODAは受益国だけではなく、日本にとってとても重要な利益をもたらすのである。

 「ODAについてもっと理解を深めてほしい」と杉村氏は何度も主張した。国家予算におけるODA予算は1%程度であり(外務省資料より)、その金額でどれほどの利益が日本と受益国にもたらされているのだろうか。将来の日本を支えていく私たち若者が、ODAによって世界の国々と「絆」を形成していくことの重要性を理解し、伝えていかねばならないと思う。

アンゴラ共和国大使館での記念撮影