記者:中島千尋(17歳)

取材メンバー:前田海嘉(18)、中島千尋(17)、大嶋はなみ(16)、清水菜々子(14)、井上知行(12)、原 衣織(10)、近藤侑希(8)

 「政治家の仕事って何?」。毎日のようにメディアを通じて見る姿、あるいは公民・政経などの学校教育からは、政治家の本当の姿は見えてこない。実際の政治家はどのような仕事をしているのか。チルトレンズ・エクスプレスの7名の記者たちは、文部大臣、科学技術庁長官などを歴任した参議院議員中曽根弘文氏(57歳)と、その息子の康隆氏(20歳)を取材した。

 中曽根弘文氏の国会会期中の一日は朝8時に始まる。自民党本部において一斉に始まる各部会。農林、文教など数ある部会に出席して審議を行うのだ。10時頃に部会は終わり、国会の委員会が始まる。中曽根氏は文教科学委員会に所属しており、他党の委員と主に、教育についての法案を審議する。長引くと6時頃までかかることもある。夜は選挙区である群馬に戻って後援会の会合に出席したり、外部団体との会合に出席したりすることも多い。本会議では各委員会で審議された法案が、議員全員で審議される。息子の康隆氏によれば、この仕事以外にも「午前2時、3時まで勉強している」事も多いそうだ。非常に忙しい毎日である。

 政治家というと必ず連想される「不正」。それほど政治に対する不信が広まってしまっている現状について、弘文氏は「非常に残念。一部の人のそのような行為によって政治から国民が離れていってしまう」と語る。一方息子の康隆氏は「みんながみんな、そうではないけれど、そういった不正が起きているのは事実。しかし、マスコミも不正ばかりを取り上げるのではなく、あるべき姿をしている政治家のことや、良いことの部分も流してほしい」と語った。

 弘文氏は、政治家になる前、一般企業に勤めていたが、父親の康弘氏が首相になった際、「息子として父を支えたい」と思って秘書となり、それから政治家への道を歩み始めたそうだ。政治家になってからは、子どもに関する法案、特に教育関連の法案に力をいれてきた。その理由は、「世の中で一番大切なのは教育だから」だそうだ。今まで提案した法案や、今後提案したい法案として、青少年の健全な育成のために有害な本や番組について業界の自主規制を求める法案、教員の長期社会体験研修についての法案、サマータイム制度の導入についてなど、詳しく説明してくれた。政治家という仕事に誇りを持っている様子が伺えた。

 父親に政治家としてやってほしい事は、という質問に対して、康隆氏は「教育についての仕事を完遂してほしい」と語った。

 「政治家という仕事が分かりにくいのはなぜか」という質問に対し、弘文氏は、メディアに対して「誇張した報道は控えてほしい」と注文をつけながらも、一番必要なことは「政治家自身がもっと国民に直接説明すべきなのだ」と語った。

 弘文氏は「政治家の仕事は、国民の信頼、期待、現状を訴える声によって支えられるもの」と何度も語った。そして最後に、CE記者をふくめて、子どもたちに対して「のびのびと、好きなことを思いっきりやって下さい。自分は社会の一員なのだという意識、感謝の気持ちを持つようにしてください。社会は人と人の関係から成り立っているので、思いやりを忘れないようにしてください」というメッセージでインタビューを締めくくった。