参加記者 参加記者:持丸朋子(15)、堀 友紀(15)、谷 彩霞(15)、富沢咲天(15)
司会:宮澤 結(司会)
2010/12/12

女性であれば、だれでも試してみようと思う「ダイエット」。しかしその方法によっては成長期の10代の女子たちにとって様々な危険をはらんでいる。女子中高生は何故ダイエットをしたいのか。スマートになりたいけれど食べたい――複雑な女学生の心のうちは。

結:最近私の友だちの間でダイエットが流行っています。その中には運動してやせるというのもありますが、夕食を食べないという無理なダイエットもしているようです。どうしてダイエットをするのか、またみんなのまわりにはダイエットに興味を持つ人はどれくらいいるのか、今回は中高生のダイエット事情を話し合いたいと思います。

挑戦したけれど

結:この中で今までダイエットをしたことがある人はいますか? 

咲天:ご飯を抜くっていうよりも運動して、お菓子を止めたり我慢したり、そういうダイエットをやりました。数キロ太ったなって思って、それを元通りにしたいからやっていて、しばらくお菓子とかを我慢していたら元に戻りました。

彩霞:私は一回やろうと思ったんですけど、その日にお菓子を食べちゃってダメでした。

朋子:私もだんだん太ってきて、やせなきゃなとは思うんですけれど、食べたさの方が勝ってしまい、ダイエットができません。

友紀:まったく続かなくて、宣言した次の日に食べてしまう、自分の意志の弱さが見えたダイエットでした。

咲天:私も途中で挫折して食べちゃうこともあったんですが、一回始めて、2日・3日くらいやっているとそれが続いてきて、間食を止めることでお金も節約できるから、自分はこんなにがんばったんだなという感じで達成感を得られました。

友だちたちは?

結:では次に学校など、まわりの友だちでダイエットをしている人はどれくらいいますか?

彩霞:女子校でクラスに38人いるんですけど、ほとんどみんながダイエットをしていて、30人くらいはしている感じです。

咲天:私のクラスではそんなにダイエットしている人はいません。でも「最近ちょっとひかえてるんだ」っていう子はたまに出てくるんですけど。

朋子:私も女子校なんですけれど、実際にダイエットをしているかわからないけれど、「やせなきゃ」って言っている人はほとんどです。

友紀:正確な人数はわからないんですけど、口に出している人以外にもダイエットしているんだろうなってわかる人はけっこうまわりにいて、サラダだけでお昼ご飯をすませたり、夜ご飯を抜いたりという人はいます。

結:なぜ女子中高生がダイエットをするのだと思いますか?

咲天:やっぱりまわりの子がそういうのをやっていると、影響されやすいのもあると思いますし、雑誌とか見てモデルが細くて、自分もこうなりたいなという願望があるんだと思います。

友紀:中学・高校がまわりの目一番気にしている年代だと思うし、少しでも良く見られたいというふうに思うことから始まるんじゃないかなと思います。

やせている=美しい

結:最近ファッション業界が「やせている=美しい」といった、間違った美の観念を与える危険性があるというふうに気づき始めました。スペインやイタリアでは一定の体格基準に満たないモデルのファッションショーでのランウェイ出場を禁止しています。アメリカ・フランス・イギリスでも、やせすぎモデル問題に取り組んでいるそうです。みなさんの中で「やせている=美しい」という考えはありますか?

彩霞:やせている人はスラっとしていて、「あ、美人だな」って思いますけど、やっぱり中身が一番大事だと思います。だから中身をしっかりと磨いてからまわりのことを気にし始めた方がいいかなとは思います。

友紀:「やせている=美しい」というふうには思いません。私はやせているのはある一定の基準で、やせすぎているのはそんなにきれいだとは思わなくて、健康的な方がきれいに見えると思います。

咲天:学校で友だちと話していたりすると、やっぱり細いときれいだし、みんなの憧れだなというふうに思います。

朋子:私も「やせている=美しい」ではなくて、ある程度ちょっと太ってた方が健康的でかわいく見えると思います。

メディアの影響

結:では実際に自分や友だちで、モデルやテレビのダイエット企画の番組に影響されている人がいるというのを感じたりしますか?

友紀:会話の中でたまに、「昨日の番組でこういうのをやっていた」という情報交換をしているのを聞くので、たぶんテレビや雑誌の情報などを自分たちで収集して交換をしてるんだと思います。

咲天:友だちの間でテレビの影響があって、「こういうエクササイズがいいんだよ」とか、「何時から何時までに晩ご飯を食べればそんなに太らないんだよ」とか、そういう情報交換をするんですけど、サプリメントや薬とかそういうのはないです。

彩霞:前に雑誌で、毎日何を食べているかをちゃんと手帳に書いて、自分が毎日何を食べているかを知ることによってやせていける、という付録みたいなのが付いてたんですよ。

結:レコーディングダイエットみたいなの?

彩霞:はい。学校ではそれをみんなちょっとやっていました。

結:それが流行ったりするんですか?

彩霞:流行ったりしますね。でもすぐみんなあきらめちゃったり。

朋子:私の学校ではやっぱりテレビの影響を受けている人が多くて、なかでも以前流行った納豆を食べるダイエットとか朝バナナとか、そういうのを実際にやっている人がけっこういました。

拒食症の怖さ

結:みなさんは拒食症というのを聞いたことがあるかもしれないんですが、慶応義塾大学病院の渡辺久子医師の「小児心身症クリニック」という本によると、不安やストレスを心で感じて悩む代わりに、食べる・食べないといった食行動で発症する、摂食障害という心の病気の一つなんだそうです。もちろん、受験や部活といった思春期のすべてのストレスが発症の原因になるそうなんですが、その一つにスリム思考が蔓延していることがあげられます。ダイエットで減量してくると、ダイエットハイといわれるカラ元気になります。胃袋が萎縮して空腹感は消えて、食べても吐きやすくなるそうです。それだけでなく、脳が萎縮して正常な判断ができなくなったり、無感動・無感覚になるそうです。病院で受診する前に命を落とす人もいて、死亡率は約10%で思春期におけるもっとも死亡率の高い心身症といわれています。
ダイエットが病気とか体調不良につながると考えたり、感じたことはありますか?

彩霞:あります。実は私の母の姉が10代の時に拒食症になって、病院に入院して何とか退院できて正常になったんですけど、今でもすごく細くて、まだ拒食症から抜けられていないかなとは思います。

友紀:私の学校では美意識が高く、きれいにしている子が多いんですけど、みんなすごく細くて、一学年に何人もの拒食症の子がいます。実際に私のクラスにもいるんですけど、原因というのが、細くなりたいっていうのもあるんですけど、ちょっと人から嫌われたりした時に、原因が太ってるからなんじゃないかと誤解をして、何にも食べなくなって、ほんとに骨だけみたいな拒食症になる子もいて。

咲天:私の学校ではお菓子を我慢したりする子はいるんですけど、晩ご飯を抜いたり、極端なダイエットをしてる人はいないので、拒食症までいく子はいないです。

朋子:私の学校もあんまり過激なダイエットをしている人はいないので、ちょっと細くて一般的に見るときれいだなというぐらいの「人が多いです。

結:私の友だちが拒食症になってしまって、それまで私自身はダイエットはすごく楽しいし、やせたらいろんな服が入るんじゃないかとか考えていたんですけど、実際に友だちの病気を目の当たりにすると、ダイエットの恐ろしさというのが初めて見えてきて、ダイエットに対する考えが変わりました。

ダイエットは危険

結:渡辺久子医師の「小児心身症クリニック」という本によると、10代の間に間違ったダイエットをやって基準体重以下の体重になっていって生理も止まり、そのために将来子供の産めない体になってしまい、取り返しのつかないことになるそうです。成長が遅れて骨粗鬆症とか、早期の老化や早死にのリスクが高まるそうです。
そういう病気になることを知っていましたか?

朋子:私は学校の保険の授業で、ダイエットをしすぎるとまず無月経になり、その後、無排卵になって体の不調をきたすということを習い、こわいなと思いました。

友紀:保険の授業でダイエットの恐ろしさについて、全然習っていないけれど私の学校では拒食症の子がけっこういるので、そういう子たちを見て、ダイエットって怖いなっていうふうには実感するんですけれど、無月経になったりというような具体的な影響というのをみんなは知らないと思います。

咲天:私はテレビとかで見て、拒食症とかにかかると死にも至るんだよっていうのを知っていたのですが、やっぱり知らない人も多いと思いますし、すごく危険性があるのでもっとみんな知った方がいいと思います。

結:ではどうしたら無理なダイエットっていうのが無くなると思いますか?

彩霞:やっぱりまわりの人から影響されてダイエットを始めるという子も多いと思うので、まわりに影響されないようにすると、そんなに過激なダイエットをしなくなると思います。

友紀:ダイエットが健康にも悪くて死にも至るっていうことを、しっかりと一人一人が認識した上で、そういうダイエットの仕方ではなくて、毎日ちゃんと三食食べて、その食べる物を健康的にしたり、体には害の無いようなダイエットをすればいいと思います。

朋子:メディアの影響を受けている人が多いと思うので、そのメディアがダイエットの良くない点もきちんと伝えた上で、ダイエットの特集番組を流すのであればいいと思います。

咲天:正しい知識を得るということもありますし、あとは拒食症などのストレスが原因だったら、食べないということ以外にストレスの発散法を知っておいた方がいいと思います。

結:やっぱり中高生は雑誌とかテレビの影響をすごく受けやすいなと思います。食べ物に気をつけたりとか、まわりの影響もあると思うけれど、ちゃんと自分自身でダイエットに関する知識というのをもつことがすごく大切なんだと思いました。

咲天:ダイエットというのはすごく危険なんだと思ったし、正しい知識を知らない人がとても大勢いるので、ダイエットをしたいって思ったら、一人一人がその前にこれは危険だからやってはいけないんだなとかを考えていかないといけないと思いました。あと、メディアの情報に流されないように自分も気をつけなきゃなと思いました。

彩霞:ダイエットをする人はまわりの人からの影響やメディアからの影響があるので、ちゃんとしたダイエットの知識を知って、ダイエットに取り組んだらいいなと思います。

友紀:私の学校でダイエットをしている人が多いというのは知っていたんですけど、他の学校でもしていないところはなくて、やっぱりこの年代だとダイエットをしてる人が多いことがわかりました。ダイエットをするきっかけというのが周囲からの影響によって始まっているので、自分を見失わないで、ダイエットについてもっと知るべきだと思いました。

朋子:私のまわりにはあまり過激なダイエットをしている人がいないのですが、10代でも拒食症になっている人がけっこういたということを知ったので驚きました。ダイエットはやっぱり危険だというのを自分でわかるように、きちんと情報を自分で判断して、正確な情報を収集できるように一人一人がしていかないと大変なことになるんだなと思いました。

ダイエットの効果は

友紀:私の学校で拒食症の子たちは一度はほんとに見るに堪えないくらい細くなってしまって、でも最終的にはやっぱり一回細くなった分リバウンドですごい太っちゃって、結局は自分ではダイエットしてるつもりだったんだとは思うんですけども、意味が無くなってしまって、逆効果になっているっていうことを見ていて思いました。

結:私は、中学二年生の時から夕食の炭水化物を抜く、というダイエットをしたのが始まりでした。でも炭水化物を抜いている間はどんどんやせていくのですが、食べ物を我慢するとストレスになってしまい、逆にやけ食いをしてしまって体重が戻ってしまったりしました。やはりダイエットは食を抜いたり、ストレスをためるものよりも運動などをして発散する方がいいのだと思いました。

カロリー計算して決める?
結:基礎代謝をみんなは意識をしたことはありますか?

咲天:私は友だちとファミレスに行ったりする時にメニューを見て、それぞれこの食べ物は何カロリーって全部書いてあるので、それを見て「あ、これはやめとこうかな」ってそういう意識はあります。

朋子:この間の家庭科の授業で基礎代謝について習い、カロリー計算についても習ったので、それ以来少し気にするようになりました。コンビニに行って特に「一つあたり何カロリーで全部で何個入ってる」っていうのを見ると自分で計算して、これは全部食べると何カロリーだなっていうところまで計算して、買うか買わないかを決めます。

彩霞:一応気にするんですけど、やっぱりお店でメニューを見るとおいしそうで頼んじゃいます。

友紀:友だちが「何カロリーだからこっちにする」とかいう会話をよく聞くんですけど、私はスポーツした後で我慢できないので、食べ物に関してのカロリーは実際低い方を食べようとはあんまり思わないで、ただ口にしているだけです。

結:私もコンビニに行くと、お弁当を買う際にカロリーと脂質のグラム数を必ず見るんですね。脂質がカロリーに対して高いと止めようとか食べようとかいうのを決めたりします。

咲天:私は買う時にあまり見ないんですけど、同じ値段で二つ選択肢があって迷った時にはカロリーを見て決めたりします。

友紀:この前友だちのスケジュール帳見て、カロリー表っていうのが付いていて、各ファストフード店でもマック、ケンタッキーっていう部類に分かれて、この商品は何キロカロリーっていうのが書かれていて、それを見てとてもびっくりしました。その友だちはお昼にご飯食べに行く時に必ずチェックをしてるのを見て、すごいなって思いました。

結:では座談会を終わります。                                    以上