U18サミット2025に参加して
記者:林遼太朗 Ryotaro Hayashi (17歳)
2025年3月26日・27日の二日間、神奈川県横浜市の上郷森の家で開催された『U18サミット2025』に参加した。このイベントは、18歳以下の若者が様々な分野で活動し、将来のビジョンや社会問題について議論・交流を行うことで、他者との対話を通じて知見を広げることを目的としている。全国から集まった熱意ある同世代との出会いが、私にとっても大きな刺激となった。
上郷森の家に到着すると、まず最初に他の参加者と打ち解ける時間が設けられた。自己紹介を交わすうちに、鳥取や愛媛、京都や宮城といった関東以外の都市からの参加者が多いと気づいた。また、参加者全員がそれぞれ異なる社会分野に興味を持ち、解決のためのアクションを起こしている。全国から集まった彼らと共に過ごす、濃密な2日間が開幕した。

1日目
1日目は自分の過去を振り返ったり、グループワークを通じて社会問題について発表する活動を行った。グループワークは、最初に興味関心の分野が似ている人たちが数人で集まり、班ごとにテーマを定めて問題提起し、解決案などを発表する、という内容だ。私たちの班では政治と芸術が関心分野だったので、「アメリカと日本の音楽における政治表現の違い」をテーマに、それぞれプロパガンダに使われた両国の歌を比較した内容を発表した。「他国にどのような影響を与えたか」などの質問も飛び交ったが、歴史的背景を根拠に対話を通じて理解を深め、うまく対応ができた。
後半では、成果発表会が行われた。参加者は自身で起業した事業のプランや、団体での貢献活動などを発表した。
2日目
2日目は登壇者との交流が行われた。実業家の三浦宗一郎氏や慶應義塾大学、東京大学で教鞭をとる鈴木寛教授など、社会で活躍する先人達の話を聞いた。三浦宗一郎氏は恵まれない子供たちの環境について、「そんな人にはチャンスすら与えられない。だから僕たちが教育に携わり、一人でもそのような人を無くしたいと考えています。先日も新潟の少年院で講演してきました」と笑顔で語っていた。
そして閉会式では、参加者一人一人が自分の将来の目標を全員に向かって宣言し、社会問題を解決しようと熱い思いをぶつけ合い、2日間にわたったイベントは終了した。
U18サミットの参加者の多くが他者の考えや行動を目の当たりにし、これからの自分の活動へのモチベーションの向上に繋げていけるのではないだろうか。京都府から参加したというある高校生は「今まで周りに問題解決に向けた活動をしている人がおらず、どのようなアクションを起こせば良かったのか分からなかった。けれど起業や団体設立をした人と交流して、自分のやるべき事が明確になった」と話した。

気づき
私自身は、この2日間で自分の「軸」の確立を感じることができた。これまで取材活動をしてきたが、世の中の役に立っているのだろうかと、自信を持てないことがあった。しかしU18サミットでのアクションや交流を通じ、自分自身と向き合うことができ自信がついた。また他の参加者から、私の活動に興味を持ってもらい、私の活動には他の誰にもないオリジナリティがあると気づいた。
私はあえて人目が向きにくい場所を取材し、記事を通じて自分の考えを可視化してきた。そうすることで、読者に新情報と私の視点を同時に届け、共有してきた。
他者との交流は社会問題の解決に向けて必要不可欠だ。私は改めて、自分の考えを認識できるのが、U18サミットの醍醐味だと感じた。また、私自身、U18サミットの参加を通じて「主体的に学びを深められる場所」が今の教育に必要だと強く感じた。現在、文部科学省は「アクティブ・ラーニング」を学校教育で推進しているが、殆どが授業の一環として受動的に行われている。しかしU18サミットのような能動的に行われるイベントは、参加者1人1人を刺激し、それぞれが自分自身の夢を発見する機会を与えるのだ。これこそが、問題解決力を養うのではないか。

参加を振り返って
参加者達と出会い、自分のなかでの常識が崩された。彼らは私と同年代でありながら起業したり、団体を立ち上げたり、今まで自分が出会ったことのないタイプの人ばかりだったからだ。また参加者全員が「現状を少しでも良くしたい」と情熱を持って取り組んでいたのは私に刺激を与えた。U18サミットではそんな人たちと繋がり、人生で最も濃密で刺激的に成長できる2日間を送ることができた。
記者雑感: 個人的に1番記憶に残った人は、僕と同い年で起業してIT関連のサービスを作り、名だたる大企業と提携して事業を展開する人です。その方と実際に対話を通じて交流すると、改めて好きなことに没頭し挑戦を続けるマインドの素晴らしさを感じました。そして、こんな人が日本を変えていくんだなと実感しました。