18歳から成人?
2007/10/18            川口 洋平( 17 )

首相官邸で的場順三官房副長官へ取材
首相官邸で的場順三官房副長官へ取材

 憲法改正に関する国民投票法 ( 日本国憲法の改正手続きに関する法律 ) が公布され、憲法改正をする際、満18歳以上に投票権が与えられることになった。それに伴い、今まで20歳だった成人年齢を18歳に引き下げようとする動きが広まっている。

 政府は5月14日に年齢条項の見直しに関する検討委員会 ( 委員長:的場順三官房副長官 ) を発足させ年齢条項がある法律の見直しを始めた。成人年齢が引き下がると参政権を得られるのだろうか?飲酒、喫煙はどうなるのだろうか。的場委員長によると、どのような法律が具体的にどう変わるかは検討中で、改正の必要のある法律を各省庁に調査してもらっている段階だという。

  そもそも、国民投票法成立で整合性をとるために、民法や公職選挙法などに必要な措置を講じる必要があるという名目で見直しがはじまった、今回の成人年齢引き下げ。国民投票法案を提出した枝野幸男衆議院議員によると、昔から成人年齢を引き下げようとする動きはあったという。その内容は、成人年齢を見直すことが国民投票法より先であり、目的は二つあった。一つは若い人たちに政治に関心をもってもらいたいということだ。もう一つは、世界の流れにあわせるというものだ。実際、海外では18歳成年制をとる国が多く、150カ国以上の国が18歳成人制を取り入れている。的場委員長が成人年齢を他国と同調することに関して、「政治に必要なのは外交だ」と言っていたことからも、世界各国にあわせたいというのが本音ではないだろうか。

衆議院第2議員会館で枝野幸男衆議院議員へ取材

 実際に成人年齢が18歳に下げられれば、それぐらいの年齢の人はどう思うのだろうか。 NPO 法人ドットジェイピーが今年4月、全国の大学生 430 名に実施した国民投票法案意識調査によると、約6割の学生が、「社会に対してある程度の判断力を持っていることが必要という理由で、成人年齢は20歳からが良い」という。チルドレンズ・エクスプレス中高生記者で行った座談会では成人年齢引き下げに伴う、参政権に関して「 18 歳に引き下げるのは良くない、政治を判断できないのではないか?」「権利だけもらっても義務を果たせない人が出てくるのではないか」と不安視する意見が多く出た。

 的場委員長は、政治を判断できない人が出てくることに関して「現行の20歳であってもきちんと判断できるとは限らない。深い知識を身に付けた専門家もいれば、なにも知らないような人がいて、それらが平均化されて政府ができあがる」という。

 とはいっても、一人でも多くの人がきちんと政治を理解し判断することは必要だろう。人気投票で政治家が生まれ、その政治家が作りあげる政府はあまり考えたくない。

 成人年齢引き下げは、まだ検討が始まったばかりだ。成人年齢が引き下げられ、憲法改正だけでなく、国政選挙や地方選挙において投票権を得ることができた場合、私たちが政治に興味を持たなくてはいけないのは言うまでもない。一方で、18歳できちんと責任をもって一票を投じるためにも、政治についての知識を学び、考えることが必要だ。そのためにも、学校で公民や政治経済などの薄っぺらい政治の仕組みを教える場だけでなく、政治を考える機会や教育制度を整備して欲しい。


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