近藤さくら(16)
ことし、保育中に一人の幼い子どもが亡くなってしまうという事件が起きた。今の日本の在宅保育(ベビーシッター)にはどのような基準や制度があるのか、また実際の現場はどうなっているのか公益社団法人全国保育サービス協会の事務局次長、研修課長の長崎真由美氏にインタビューを行った。
同協会は日本で唯一の公益事業を目的としたベビーシッターの団体である。施設型保育を中心に発展してきた日本において、訪問型保育に関する法律がない中、自主基準を設け、またベビーシッターの専門性を整理し研修を行ってきた。 142の独立した企業がこの協会の会員として加盟している(平成25年6月1日現在)。加盟するには協会の審査を通らなければならない。
ベビーシッターは保育園と違って個々の家の考え方、方針、また子どもの特徴に沿って世話をするが、実際にどのような人が利用し、利用理由は何が多いのか。長崎氏によれば、利用者の中で一番多いのは親がフルタイムで働く家庭である。日中は保育園に預けてベビーシッターが迎え、その後、家での保育を依頼するというパターンが多いという。専業主婦の母親たちが冠婚葬祭、兄弟の学校行事の参加、通院しなければならないケースもそれに次いで多い。また長崎氏は母親自身のリフレッシュのための利用も推奨している。
協会ではベビーシッター制度の安全性を高めるために自主的な研修や実態調査を行って事業に反映させている。これらの努力の結果、事故は一年を通して30~40件で、事故があっても重篤な事故や死亡事故はないそうだ。
女性の社会進出が進む一方で保育の対策が現状に追いつかない中、こうした在宅保育が果たす役割は非常に大きく、期待されている。集団保育とは違い1対1、1対2と密に接するので、ベビーシッターとその家庭との関わりは深いものになる。このため何が一番大事なのか、よく考えて判断するべきだと長崎氏は指摘する。問題はこうした協会の存在を知らず、そこまで手が回らない人もいるという現状だ。そういう人たちにどのような対策をとるべきか、これが今後の課題になってくる。