記者:秋津文美(18歳)

 2 月 26 日(日)、チルドレンズ・エクスプレス記者たちは表参道ヒルズを取材した。表参道ヒルズは同潤会青山アパート( 1927 年竣工)を取り壊して安藤忠雄氏が設計した複合施設である。全長は約 250 メートル、地下 3 階から地上 3 階は国内外の有名ブランド約 90 店が入居。内部は 6 層分の吹き抜け構造になっており、表参道の傾斜にあわせ、床をスロープ状に傾斜させているのが特徴。駐車場は地下に約 200 台収容。かつてあったアパート1棟を東側(同潤館)に復元している。今月 11 日にオープンしたばかりという新しさ、話題性から、平日に延べ 4 ~ 5 万人、土日には 7 万人の来場があるそうだ。

 細いエスカレーターが上り下り1基ずつ、エレベーターも小さなものが3台ほどあるだけだ。しかし、緩やかな坂のため、自然に足が動く。これは大きな省エネだ。

地下 3 階にある大人が真剣に遊べるホビーショップは、バーカウンターを併設しており、 R/C カーサーキットでレースを楽しめる。 私たちがこの店を訪れた時は日曜の昼間だったこともあり、最前列は小学生で占められていた。 1 回 15 分で 500 円。少年たちは多いと2、 3 回遊んでいくそうだ。「平日や夜は大人が中心でもっと静かなんですけどね」と、脇にいたバーテンダーは笑う。

 高級宝飾店などが立ち並ぶ、といったイメージのある表参道ヒルズだが、地下3階には 1000 円台からのアクセサリーも見られる。「うちの店は宝石箱をひっくり返したような、というのがコンセプト。年齢層も幅広く、小学生でもお母さんに買ってもらっていますよ。」

 3階のレストラン街も、各階のトイレも長蛇の列だ。しかし、ブティックなどは意外と空いている。「値段が高いから、ちょっと入れないわね」と、初めて訪れた 50 歳代の女性は言う。

60 歳代の夫婦は、開港したばかりの神戸空港を利用して兵庫県からやってきた、という。また、名古屋と岐阜からきた二人の大学生は、卒業旅行で六本木ヒルズを見て、ここへ来たそうだ。明日はお台場を訪ねるという。表参道ヒルズは全国的にも東京の顔なのだ。彼らの手にも 1 個 800 円のアイスクリームがあった。店は高価、飲食店は超満員で入れない。「折角来たのだから何か…」と夫婦も学生も購入理由を話す。

 「下北沢から来たのですがね、すごい人ですね」と娘を連れた父親。来たがったのは母親だという。 4 月に小学校に上がるという女の子にはお店よりも父親に買ってもらったカシスのシャーベットが気に入っているようだ。その値段は 1 個 2500 円。「思わず店員に聞き返しましたよ。こんなアイス一生モノですよ」と父親は苦笑する。

 今日、子どもたちは、表参道ヒルズで大人の味を知ってしまった。歴史や環境と共存しようという時代の風も、確かに受け取ったのだった。