記者:藤原沙来(16)

 夢はないから目的もなくとりあえず学校に行っている。学校に行っているけれども勉強する気にはなれない。とりあえず今が楽しかったらそれで充分。都会に住む私の周りでは夢を持っていない高校生が多い。

 「将来の夢は何?」と聞いて「まだ考えてない」という人がほとんどだ。将来を担っていく高校生がこんな状態でも良いのだろうか。目的もなく学校に行き、将来はお金さえ稼げればいいやというような行き当たりばったりな生活ではあまりにも情けない。

英国人の意見を聞く(CEロンドン支局で)

 日英子ども記者交流プログラムで高校生を対象に将来の夢はあるかどうかなどいくつかの話を聞き日本の高校生と英国の高校生の比較をした。

 北アイルランドのベルファストのチルドレンズ・エクスプレス ( CE )では、 CE での経験を生かしてジャーナリストや写真家を将来の夢にしている人が多くいた。そして、夢は持つべきだという意見が多く出た。「環境が様々でも、夢を追って何かを追い続けることは自分にプラスになり重要なことだ」という意見も出た。自分の周りにも夢を持っている人は多く、将来のために今は学校の勉強に励んでいるという。

 同じく北アイルランドで失業率が一番高いロンドンデリーの CE では、夢を持つことは非常に重要だという意見が多く出たが、ロンドンの CE では、彼らの友達はほとんど夢を持たずに今を楽しんでいると言う。「高校生の夢といったら大学に行くことが第一だから、学校が楽しいことは大切なこと。将来の夢は急いで決めるものではない」と言う。

 都会のロンドンの高校生と日本の都会の高校生は似た考えを持っている。

 キリスト教の宗教色の強い北アイルランドの記者は「良い母親や父親になるためには勉強することはさほど必要ではない。学校は勉強だけを教えるのではなく、良い家庭を作りたいという人や歌手になりたいという人に対してもサポートをするべきであると思う。勉強に向いていない子もいて押しつけるのは良くない。そういう子に対しても学校が何らかの処置をとるべきだ」と言う。とっても印象的な言葉であり、確実ではない将来に対して挑戦している子に対してもサポートがあれば、将来の夢を持ちやすいのかもしれない。

 今回の取材で都会に住む高校生はいかに恵まれている環境にいるかを考えさせられた。失業率が 10 %というロンドンデリーと失業率4%の日本を比べると日本の高校生は将来ついてのんびりと考えてしまうのは仕方ないのかもしれない。だが、それで終わらせてはいけないことである。私たち高校生は自分の好きなことを見つけて活動的になるべきである。

 都会だからこそ恵まれた環境のため、将来の夢を持ちにくいのかもしれない。都会の日本の高校生とロンドンの子に話を聞いて共通点を感じた。そして、失業率の点でも、 Econoic Inactivity Rate (日本でいうニート率に該当)の点でも、北アイルランドは、英国平均のおよそ 2 倍となっている。このように就業することが厳しい現実の中、真剣に将来のことを考えなくてはいけない北アイルランドの高校生とは環境の違いを感じた。

 いくら恵まれている環境だとしてもふとした瞬間に何か見つかるかもしれない。将来について今からでも自分なりの夢を考えてみたらどうだろうか?