記者:島田大河(11歳)

取材メンバー: 今井春衣(16) 寺尾佳恵(14) 島田大河(11) 島田 菫(9) 近藤侑希(8) 堀 友紀(8)

 「運動場に集まって種々の運動や競技を行う会」(国語辞典より)のはずの運動会が、様変わりしている。アンケートや座談会の結果、意外(?)な事実が明らかになった。

 まず、以前とは種目が大きく変わっている。首都圏の小中学生の保護者(23名)にアンケートしたところ、騎馬戦や棒倒しを筆頭に、スプーンレースやパン食い競走、すず割り、親子競技や地域別競技などが、現代では、ほとんど姿を消していた。かろうじて残っているのは、騎馬戦ぐらいである。その騎馬戦でさえ、騎馬を崩すものではなく、帽子を取る騎馬戦に変化している。これについて、茨城県内の公立小学校に理由を聞いたところ「経済面、安全面など、問題を一つ一つ改善していった結果、このような形になっていった」と、時代の変化を強調している。

 この変化に対して、首都圏の小中学生の保護者の意見は「小粒化してつまらない」「競技系種目が少なくてつまらない」「ケガ防止が運動会をつまらなくしている」という。また、CE記者の小中学生5名による座談会でも「昔の競技をもっとやりたい」「いまの種目はやっていても観ていても面白くない」「思いっきり体を動かしたい」と、極めて批判的な意見が目立った。

 もう一つの大きな違いは賞品がなくなったことである。昔は、文房具などが出ていて「全種目1位だと1年分のノートを稼げるほどだった」と聞いて驚いた。今では、参加賞以外には順位を示す「リボン」を出す学校が少しあるだけである。この変化の理由は、一体何なんだろうか。PTA競技や、幼稚園生が参加する競技では、参加賞を与えていることから、経済面だけの問題ではなさそうである。座談会やアンケートによると「私の学校では順位さえ決めていない」という報告があった。どうやら、皆、平等に活躍できるための教育的配慮であるらしいのだ。

 アンケートでも、団体競技やダンスなどの演技種目が増えて純粋に運動能力を競う種目が減っているという結果が出ている。しかし、運動会は「運動のできる人が活躍できる場所」なのである。勉強が得意な人にはテストがある。その結果がよければ、「よく出来ました」と誉められる。運動が得意な人には運動会がある。だが、運動会が終わると「みんな良く頑張りました」では、まるで『逆差別』ではないのだろうか。

 座談会でも、「私は、運動は苦手だけど、順位の区別がある方がスッキリする」「スポーツの出来る人が目立てるようにした方がいいと思う」「勝ちか負けかの勝負をした方がいい」と批判的な意見が多かった。

 運動会は「運動ができる人が活躍できる場所」から、「皆が平等に活躍できる場所」に変わりつつある。だが、やっている子供は、見ている親は、本当にそれを望んでいるのだろうか。

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