坂本光央(10)

不二門 尚教授への電話取材

 最近、3D映画の公開に関するCMが多くなった。3Dが身体へ悪影響を及ぼしてしまわないか、という事について、北里大学医療衛生学部視覚機能療法学の半田知也准教授、大阪大学大学院医学部感覚機能形成学の不二門尚教授と、NHK放送技術研究所人間・情報科学研究所の江本正喜主任研究員に取材した。

半田知也准教授への取材

 半田先生は、「3Dの疲れの半分は、メガネにある」といった。その中でも、特に疲れやすいのが、「シャッターメガネ」だ。これは、電池式で、1秒間に60~120回もの速さで点滅しているという。次に疲れるのは、映画館でよく目にする「偏光メガネ」だ。これは、ある一定の方向からしか映像が入ってこないようになっている。一番疲れずに見る方法は、裸眼で見る方法だそうだ。しかし、この方法だと、画質は悪くなる上に、顔の位置がすこしでも動くと3Dが見え難くなる。テレビの縦の長さの3倍以上離れて見ると疲れにくいそうだ。そして、3D映画では目を休ませなくてもいいように作られているが、テレビなどの3D映像は、30分程で一度休憩を入れた方がいいそうだ。また、3Dのゲームの映像は計算外の動きをする可能性があるので要注意だ。

 このように、疲れないようにするための予防や注意をしても疲れてしまったら、画面から目をそらすようにしたほうがいいそうだ。ただ、もともと目に異常がある人は3Dの影響を受ける可能性があり、8歳以下の子供は、目が発達している途中だから、3Dは見ない方がいいそうだ。

大阪大学の不二門 尚教授

 不二門先生によると、最近では医療や教育にも3Dが使われているそうだ。例えば、DNAなど構造が立体的なのものだ。しかし、目に異常があるために3Dをうまく見ることができない子供がいる可能性があるため、立体感を影などをつけて表現する「疑似3D」という手法を使うことがあるそうだ。これは、学校の学習に適しているそうだ。また、不二門先生は、「3Dの絵は、飛び出しが固定されていて、無理に見ているせいか、3Dの飛び出しが一瞬で終わる3Dの映画より見ていて目が疲れる」といった。

 江本氏によると、そもそも、3Dの映像は、日本の全映像の1%もないそうだ。3Dの映像の場合、特殊なカメラでの撮影に手間がかかり、目の疲れの少ない映像になっているかどうかのチェックも大変なので、これからも急に増えることはないと考えているそうだ。

 このように、「3D」そのものは悪影響を及ぼさないことが分かった。最近は、3D製品も増えてきている。画面を見るものなので、長時間使う事には注意したいが、今まであった2Dの製品とバランスをとって使っていくと、今までより、生活がもっと楽しくなるだろう。

NHK放送技術研究所で3DTVを観る