参加記者:村上類(16)松本哉人(16)前田佳菜絵(15)三好恵瑠(14) 司会:藤原沙来(記者修了生)2015/08/26
沙来:来年(2016年)夏から選挙権が18歳に引き下げられます。引き下げられることについてみんなはどう思いますか?
類:よかったと思っています。今日のメンバーで、この制度の影響を一番早く受けるのは私ですが、将来のことを決めるのに、その将来に現役で働いていない人がいろいろ勝手に決めるのはおかしいと思うからです。例えば、集団的自衛権が将来もし変わるとなった時に、同世代の自衛隊学校に入っている人たちが直接影響を受けるので、身近な年齢の人が決めるのはよいと思います。
哉人:基本的に引き下げについては賛成です。その法案が施行されるときには、リタイアしている人が決めるのはおかしいと思います。実際に、大学生などの若者がいろいろな形で安保法案に反対だと行動を起こしているわけで、彼らが、デモではなく選挙で物事を変えられる状況が与えられるのはよいことです。
佳菜絵:私も基本的に賛成です。今法案を決めても、実際に施行されるのは1年後だから今から積極的に若い人たちの意見を取り入れた方がよいと思います。でも、18歳以上の人たちの意見を取り入れたからと言って、大きく政治が変わるのかどうかは疑問に思っています。*注1
恵瑠:私も基本的には賛成です。みんなが言うように、人口の中で、シニアの年齢の人たちが一番多く占めている中で、いずれは法案に一番関係してくる若者の意見を取り入れるというのはよいことだと思います。でもいま若者は一番投票に行っていないんです。引き下げても行かない人もいるかもしれないので、引き下げたうえでみんなが行くことが大切だと思います。
沙来:私自身は、CE記者時代に「成人年齢引き下げ」について取りあげた時、政治の知識も投票する責任感も実感もなくて不安しかなかったのですが、みなさんは選挙に行くことを身近に感じますか?投票することはそれなりの義務や責任が伴うけれども、どのように考えていますか?
類:中学受験の時や中学3年の公民の授業で勉強したのですが、ただ暗記しただけで、政治に関する単語は知ってもそれが実際にどう働くかは全然分かりませんでした。今回、調べてみて、まだ憲法改正投票は含まれないことなどが書いてあってびっくりしました。実際に、投票年齢が下げられるのは変えられるからよいと思ったのですが、正直細かいことはあまり分かりません。
哉人:18歳で行くときも20歳で行くときも、たいして感覚は変わらないと思います。ただ、統計で言えばこれで投票する人数が増えるわけです。たぶん思想的には大学生というと急進派だったりタカ派的なことを言う人も少なくないと思います。だから、意見の比率は変わってくると思います。でも、義務としての感覚の違いは2歳下がってもないと思います。
佳菜絵:今、私たちはあまり政治に詳しくないけれど、政治に興味を持っていろいろニュースを見ることだけでも意味はあると思います。政治をもっと身近に感じるということでも、選挙に行く意味はあると思います。
恵瑠:選挙権を得た以上、何歳であろうと投票に行かなければいけないと思います。しっかり調べて自分がこうした方がよいと思うところに行くべきだと思います。
沙来:調べたり政治を身近に感じたりすることは大事だとみんな言っていますが、今のみんなにとって政治は身近ですか?
類:そんなに身近ではないです。
恵瑠:ワイドショーぐらいです。
佳菜絵:テレビを見ていても、自分とは関係のないことと思ってしまっているところはあります。
沙来:これから身近になると思いますか?今後、何かが変わると思いますか?
類:変えるべきだとすごく思うのですが、公民で知識を詰め込んで覚えてきたものの(*注2)学校の方針も変わらないだろうし、政治家も向こうからこっちに歩み寄ってくることはないと思います。総理大臣も官僚の人たちの年齢も高いので、
考えすぎかもしれないのですが、その人たちの年齢に近い人の意見を通させたいというのはあると思います。そういうことを考えるとあまり変わらないと思います。
哉人:変わらないと思います。ただ、国の政治の一端を感じられていないわけではないです。ベビーシッターの取材をしたときに、ベビーシッター業界に国からの支援が下りるかという瀬戸際にあって、その変化がなぜ起きたかというと、数年前に国が決めた子育ての政策が変わったからです。そういう大きな政策がベビーシッターという僕らの身近に感じられる業界にもおりてきています。だから、政治の変化の一端は感じられています。
佳菜絵:学校の公民の授業で勉強はしているけれど、いざ自分が関わるとなると身近には感じません。自分とはあまり関係ないと思ってしまっているところがあります。
恵瑠:母と政治について話すこともあるので、意外と身近に感じます。それでも知識はワイドショーレベルなので、自分自身で政治を捉えることはできていないのかなと思います。
沙来:政治はあまり身近ではないけれど、投票には気軽に行けそうな印象ですか?
類:私の親は、軽い感じで投票に行っています。だから、気軽に行けるものなのかなという感じがします。
恵瑠:母はいつも選挙に行くときに私も連れて行き、私は投票所の前で待っています。母がいろいろ調べてから来ているようで、これは…、あれは…と私に話してきます。やっぱり、考えてから選挙に行かなくてはいけないと感じます。まずは、選挙に行くことが大事かなと思います。
佳菜絵:確かに、駅前で立候補者がいろいろ話していても、私の家の近くでも年配の人たちばかりが集まっていて、若い人はちゃんと考えているのかなと思うこともあります。
哉人:いざ、投票に行くとなったら、選挙の広報も読むと思います。駅前で配られるチラシにも目を通すだろうし、その候補者がこれから何をするだろうかは把握するようにすると思います。
類:来年高校3年生で、誕生日が遅いので来年の夏はまだ投票できないのですが、同学年の子が選挙に行くとなると、配っているマニフェストを読んでみようかなと思います。
沙来:いざ、行くとなったら、自分で政治を知ろうとする努力をするということですね。では、どうしたらもっと政治が身近になったり、選挙権を持つ責任を感じたりすることができると思いますか?
恵瑠:まず、政治が身近に感じられない原因を考えてみました。テレビで国会中継もやっているけれども、話自体が難しくて分からない、何をやりたいのかが分からないというのが前提にあると思います。そのうえで、私たちがどう思っていても、選挙で投票した時にしか私たちの意見は反映されないし、マニフェストに書いていなくても私たちはそれ以上関与できない。だから、何かやっているなという感じで終わってしまうのだと思います。身近に感じるにしても、限度はあると思います。デモ活動をしている人たちにとっては政治が身近かもしれません。その人は意見を持っているのだと思います。意見を持てば、政治を身近に感じられると思います。
そのためには、いろいろなことを知らないといけません。今の政治家たちが何をしようとしているのか知ろうとすれば、知らない時よりは身近になるのではと思います。
類:簡単に言えることではないですが、私たちに年齢が近い政治家が出てきてもらえれば、その人が若者向けの政策などを提案してくれて若い人たちも「それいいね!」となると思います。ただ、政治や選挙権について話している子は主に真面目に勉強している子たちだけです。他の子たちは分からないと言っています。学校でもプリントを渡されるのですが、すぐ捨てています。先生でもいいと思うのですが、私たちに年齢が近くて政治に興味があったり、関わったりしている人に直接話を聞くのがよいのではと思います。
沙来:実際に選挙に行くことに興味がある子が学校にいるのですね?
類:学校の授業で、戦争の話を英語で学習した時に、来年の選挙権の話になりました。「ちゃんと考えないと」と話している子が2人ほどいました。他の30人以上は何も考えていないか、中には知らない子もいると思います。現状としてはよくないと思います。
沙来:その子たちから周りに広がったりはしないのかな?
類:表面上は話すかもしれないけれども、すぐ忘れると思います。
哉人:良し悪しは別にして、政治家のやっていることや政治家の意見をバカにして笑っている風潮も一部ではあります。それは、写真のコラージュなどいろいろありますが、そういうものを作って遊んでいる人たちは、政治家が何をやっているのかを知った上でそれをやっているということになる。そういう動きもよいのかなと思っています。
佳菜絵:この前学校の授業で、公民の時間に18歳選挙権に賛成か反対かをやりました。ほとんどの人は賛成だったのですが、考えているのはあくまでも授業の間だけで、まだ中学生だからかもしれませんが、みんなはあまり興味がない感じでした。
沙来:政治に興味がない子たちやみんなにとって、どういうアプローチがあると政治に興味を持ったり、投票に行こうとしたりするかな?
哉人:20歳以上の人たちの間でも投票率が低いことが問題になっています。要するに、引き下げられる前に、どう手を尽くしても選挙に行くことや政治への関心を上げることができなかったので、年齢を引き下げたからと言って、いきなり投票率が上がったり、これから上がったりすることもないと思います。こうやって話していても、政治に興味がある人もいればない人もいて、改善のしようがないし、問題にすることではないと思います。
佳菜絵:いろいろな政治家がこんなことやりますと言っていても、難しいことばかり言ってそうで、言っている内容が私たちとあまり関係ないと思ってしまっていると思います。もっと身近な政策を言ってもらえるとみんなも興味を持つと思います。
恵瑠:選挙には20代で30%ほどしか行っていないようで、私たちが選挙権を得た時に考えることは面倒くさいか、選挙権を得たことがうれしくて投票に行くか、本当に真剣に考えて行くかだと思います。友達と話をしていても、家族が選挙に行っていないという話も聞きます。一番投票しているのはシニア層だから、政治家もその人たちに訴えかければ投票数が上がるから、そういう政策も立てているのではと思ってしまいます。自分たちの世代に関係のある法案も出されれば、もっと考えると思います。
哉人:実際に今、出ている法案は新しく作られると、施行されるのは2年か3年の後になるから、僕らの世代にかかわってくると思います。ほとんどの法案というのは、10年先、20年先のことを考えて作られているので、認識していないだけで、本当は僕らの世代にとても関係のあることだと思います。
沙来:私は、実際に20歳になって投票権を得てから、政治についてもっと知らないといけないと思ったし、いろいろな政治家のマニフェストにも目を通すようにもなりました。投票権を得たことが、政治に興味を持つきっかけになるかもしれないなと思います。
投票権を得たらこうしたいという思いはありますか?
佳菜絵:今から政治に関心を持つのは難しくても、18歳になっていざ選挙に行くとなったらいろいろと調べて、自分の意見をもって投票したいと思います。政治家の言っていることを聞いて、責任をもって投票ができたらと思います。
類:私も、マニフェストや政治家の意見を読んだり調べたりして、過去に学んだことを見直して、まず選挙に直接関わるところから、そして18歳になってからいろいろと知っていきたいと思います。
哉人:僕も、同じように18歳になったときに何が争点になっているかわからないのですが、それに関して、自分なりに調べて、自分の意見を持って、それに合う人を探して投票したいと思います。
恵瑠:私も、まず知ることが大事だと思います。自分の選挙区内の立候補者のマニフェストを一通り読んでみて、今起こっている話題についてもしっかりと知ったうえで、自分の意見を持って投票に行けたらよいなと思います。大学に入ってからも時事について学ぶ機会もあると思うのですが、できたら自分でも調べて、そういう話をすることで周りに興味を持ってくれる人も出てくるといいなと思います。
類:ただ、実際に行ってみて、票を投じたい候補者がいない時は、それでよいのか不安です。
恵瑠:私は、自分の意見に一致しなくて、白紙投票でもよいと思います。自分のいやなことを無理矢理、他の人の意見に合わせることはしなくてよいと思います。白紙投票も1つの意見の形だと思います。とりあえず白紙でもよいから投票することが大事だと思います。
佳菜絵:いろいろな人のマニフェストを聞いたうえでの白紙投票はよいと思います。何も知る努力をしないで、よくわからないから白紙投票というのはよくないと思います。白紙でも投票をするからには、責任をもって行うべきだと思います。
哉人:日本の選挙システムの理念的には白紙投票をするぐらいならば、自分で立候補をしようという理念だと思います。もしするならば、自分が立候補してもよいというぐらいの勢いと自信を持ってしなくてはいけないと思います。将来的には、被選挙権の年齢引き下げもあるのではないかと思います。