記者:Nili Fukumoto(14)

2024年8月6日から2024年8月10日の間、東京都江東区、夢の島公園内にあるBumB東京スポーツ文化館(ワーク会場、宿泊会場)と日本科学未来館(最終プレゼン会場)で開催されたMONO-COTO INNOVATION 2024(モノコトイノベーション、以下モノコト)に参加しました。本記事は私の体験記です。

 モノコトは、デザイン思考*を用いて新しいモノやコトを創造する、5日間の宿泊型プログラムです。(宿泊費や食費は全額無料)事前におこなわれた選考によって選ばれた80人が、運営によって組まれた4人グループで活動します。最終日には大きなホールで発表する機会があり、そのプレゼンで1位のグループにはCEATECという日本国内最大級のデジタルイノベーションの総合展に参加することができます。

*デザイン思考: 商品やサービスを使うユーザーの視点からビジネス上の課題を見つけ、解決策を考える手法をデザイン思考(デザインシンキング)という。(グロービス経営大学院HPより引用

写真提供:MONO-COTO INNOVATION 運営事務局

参加しようと思ったきっかけ・選考

 私がこのプログラムに参加しようと思ったのは、去年学校の先輩が参加したこと聞いたからです。全国から集まる中高生と5日間も関われるというのはとても魅力的でした。今年の選考のテーマは「部活の困りごとを解決するモノコト」で、私はクラブ活動の日誌を書く負担を軽減するシートを作成しました。

 私は選考期間中にMONO-COTO CHALLENGEという、同じデザイン思考を活用してモノコトを生み出す2日間のプログラムに参加しデザイン思考について学びました。選考倍率は8倍と高いので、興味がある人はまずはCHALLENGEに参加してみるのも良いと思います。

プログラムの魅力

 モノコトの大きな特徴として、その自由度の高さが挙げられます。通常のサマーキャンプやビジネスキャンプでは「何日目に〇〇をする」というのが明確に決まっていますが、モノコトではほぼ決まっていません。全体で集まる機会は少なく、最終プレゼンに向けて各チーム自分たちでスケジューリングをします。しかし、運営側に放置されているというわけではありません。1日に1回以上、運営の方やプロのデザイナーの方などにメンタリングしていただく機会があります。「人間関係で困っている」「議論が白熱してどうしよう」など、相談に乗ってくれるスタッフさんもいます。

 また、ずっと考え詰めているのではなく、2日目と3日目にはメンタープレゼンと言われるプロのデザイナーの方による講演会もあり、とても学びになること間違いなしです。その他の特徴として、デザイン思考のステップをすべて踏むことができる点が魅力的です。もちろん、これも何か抜けているところがあれば運営の方がサポートしてくれます。

MONO-COTO INNOVATION 運営事務局

 他に参加している、デザイン思考を用いるプログラムでは「試す」のステップが軽んじられがちなのですが、モノコトではそのようなことはありません。実際の会社で行われているように、プロトタイプ(試作品)を使って「これは本当に必要なモノか?」という価値検証を行うことができます。

 モノコト終了後も、デザイン思考が実生活に生きていると感じている参加者の友人も多く、体験することの重要さをとても感じています。

私のチームについて

 今年は「これからの音楽体験のデザイン」(ヤマハ株式会社提供)、「記憶・記録の再定義」(キヤノン株式会社提供)の2つのテーマのどちらかを選択する形式でした。私は「これからの音楽体験」を選びました。

 私のチームは聴覚過敏の方をユーザーに据え、ライブや映画館、カラオケに行きづらいことに焦点を当てました。他のチームに比べると比較的スムーズにプロジェクトを進めることができました。他のチームでは、作曲者について焦点を当てたり、会話中の咀嚼音について深ぼったりしているチームもありました。ちなみに、優勝チームは学校の音楽系の部活の自主練アプリを提案していました。

 前述の通り他チームに比べてスムーズに進んだとはいえ、チーム内の軋轢がなかったわけでもありません。初対面で学年も違う4人が組んでいるのですから、チームによっては解散まで追い込まれているところもありました。私のチームでは、4日目(プレゼンの前日)に、みんなが泣き出してしまうことがありました。初対面との人との間にできてしまう見えない壁に、みんなが苦しんでいたからです。しかし、その後全員の本音をぶつけ合い、最後にはしっかりプレゼンをやり切ることができました。今となっては、自分の弱さを痛感したりコミュニケーションスキルを得たりすることができた貴重な経験です。

 また、基本的にチーム毎で活動するのですが、寝る部屋はチームを解体して組まれています。チームで苦しい思いをしても、部屋に戻れば別の居場所がありますし、それ以外にも他チームと交流して友達がたくさんできるはずです。コミュニケーションが苦手で、チームメンバーともうまくはいかなかった私ですが、友達は20人くらい増えました。

最後に

 モノコトは終了後の人脈やスキルなど、今でも様々な方面で「参加してよかった」と思うことができるプログラムです。

 参加前はデザイン思考についても他人と関わることも消極的だった私でしたが、今となってはなぜあんなに消極的だったのだろうと思うほどです。この記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひ参加してみてください。

MONO-COTO INNOVATION 運営事務局