記者:三崎令雄 (15)
現在、日本の景気は良くなっているというが、好景気不景気に株価の変動は大きく関係し、私たちの生活にも影響を及ぼす。また、テレビ、雑誌、新聞などで株のことが取り上げられることは多々ある。もはや、現代の社会人にとって株を切り離した生活は考えられないだろう。
最近、小中学生にそんな株や投資について学ばせようとする投資教育が盛んに行われている。マネックス証券では、実際に子どもに 10 万円を与え、 3 ヶ月間オンライントレードをさせる「株の学校」というものを実施している。しかし、子どもの頃から多くの時間を割いて株や投資について学ぶ必要はあるのだろうか。
株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長の内藤氏は、小中学生から株式投資の教育を行うことについて「若いから投資に失敗しても取り返しがつくし、失敗によって学ぶことができる」「実際に投資することで株価に反映される様々な社会問題に興味をもつようになる」というメリットを 挙げる。
しかし、慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡績(おばた せき)氏は、「小中学生から投資教育を受ける必要はなく、必要になればすればいい」「例えば英語を学ぶなど、この時期にはもっと大事なことがあり、それが投資家になる上でも成功する」 と言う。
私も最近こんな曲のワンフレーズを聴き、心を打たれた。「大人になればお酒もぐいぐい飲めちゃうけれど、もう空は飛べなくなっちゃう」。確かに大人になってからのことを子どもの頃から学ぼうとするのは重要だ。だが、子どもの時だからこそできることもあると思う。
株は買うことも売ることもできる。だから、デイトレードのようなマネーゲームにも、長期的な投資にもひとつの側面として金儲けというのがある。確かに大人になったら自分の資金を自ら運用しなければならない。だから、子どもの時に投資教育を受けなくても、大人になって社会に出たら、いつかやらなければならないという心の準備 は必要だろう。
だが、将来の夢に「金持ち」という答えを小中学生の口から聞くと、彼らの感性の摩滅を感じる。内藤氏も「お金はあくまでも何かをする(例えば留学など)ための手段であり、お金を稼ぐことが目的ではない」と指摘している。
私はもし、小幡氏の言うように大人になり、自己防衛のための投資教育が必要になってからでも遅くないのなら、今の時期には投資教育を受けず、今しかできないことをしたいと思う。