記者:佐藤美里菜(14)

 小学生を対象とした雑誌に「化粧」の特集が組まれているのを見て私は驚いた。さらに、「でかけるときに化粧をする小学生が52%」という記事が「ニコ☆プチ」(新潮社)に掲載されていた。果たしてでかける時に実際に化粧をしている小学生はどれぐらいいるのだろうか。

  そこで3月22日に渋谷109、109?、4月15日に原宿キディーランド、竹下通り周辺で街頭取材を行った。しかし、30人近くの小学生に取材したにもかかわらず、実際に化粧をしている小学生を1人も見つけることができなかった。一方、雑誌では「でかけるときに化粧をする小学生が52%」という記事がある。それはどういうことなのか。
 実際に雑誌『ニコ☆プチ』の編集長、山元琢冶氏(39歳)に「でかけるときに52%の小学生が化粧をしている」という記事について聞いてみた。すると、「この雑誌は読者からのアンケートを元に作っていている」ということだった。また、山元氏はこう続ける。「小学生のおしゃれは母親の影響が強い」。つまり、母親が娘のおしゃれに関心があれば、そういった雑誌を買い与え、その娘も化粧を含む「おしゃれ」に関心が向くのだろう。つまり、雑誌のアンケートに答える子どもや母親はおしゃれに関して興味がある人なのだ。しかし、記事に「読者アンケートを元にした」とあっても、それだけではおしゃれに関心が高い子どもだけを対象にしたアンケート結果であることがわかりにくい。そのため、私たち一般の人が見ると「小学生全体の52%もが、おでかけのときに化粧をしているの?」と驚いてしまうのも無理はないと思う。

 しかし、いくらおしゃれに敏感であっても、本当に「でかけるとき」に化粧をしている小学生が52%もいるのだろうか。「記事に載っている『おでかけ』というのは、結婚式やパーティー、イベントなどに行く時の話であって、『普段、普通におでかけする』のとは違う」と山元氏は言う。一言に、『おでかけ』と言っても人によって表している意味は大きく違うのだ。

 原宿キディーランドで行った街頭取材の際に店員に話を聞くと「2~3年前に某雑誌社から『流行っているので小学生用の化粧品売り場を作らないか』という話があり、実際に売り場を作った。しかし売り上げが悪く、なくなってしまった」と話していた。流行が作り出される場所の1つである雑誌に「小学生の化粧」が取り上げられていて、「流行っているのか」と思ったが、実際に街頭取材を行って初めて流行っているわけではないことが分かった。

 雑誌を読むときに、その記事のどこからどこまでが真実であるかを知ることで、自分自身に入る情報は大きく変わってくるだろう。しかし、きちんとしたデータを元にして書かれた記事なのかを判断することはとても難しい。また、「真実を知る」ことは容易ではないようだ。一方的にメディアから流される情報に惑わされることなく、情報を見極める力が必要なのだと私は思う。

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