記者:池田真彩 Maaya Ikeda (17)

最近よく耳にする「Y2K」という言葉。日本独自の「Y2K」が広まりつつある今、日本の文化との繋がりについて興味を持ちました。そこで、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント  ソリューション事業部 マーケティング部 ディレクター SHIBUYA109 lab. 所長の長田麻衣さんにお話を伺いました。

「Y2K」に憧れる若者

記者:Y2Kとはもともと2000年を意味した言葉だったのが、現在では意味が広がって、およそ1990年代から2000年代全体のファッションを指す言葉になったようです。これまでの歴史をみてもファッションは世相や社会を反映しているという話も聞きますが、Y2Kファッションはどんな世の中を反映していると考えますか。

長田さん:ファッションのトレンドって周期があると言われていて、大体15年から20年ぐらいでもう1回同じトレンドが来ると言われているんです。Y2Kってちょうど15年とか20年前の当時の若者が楽しんでいたので、その周期にのっているな、とすごく感じます。10代や20代の子たちからすると「1つ前の世代のファッションって、新しく新鮮に見えるから楽しんでみよう」みたいな感覚があると思います。

2000年代初期ってすごく日本の若者が元気だったというか、カルチャーの中心となって自分たちのトレンドをどんどん作るような、エネルギーを感じた時期なんです。そういうエネルギーに今の若者が憧れてたりとか、そこから自分たちもちょっとそういう雰囲気を楽しみたいな、と取り入れたりしている子が多いのかもしれません。今の若い世代は行く場所や目的に合わせてファッションのテイストを変えて楽しむ傾向があるので、コスプレのように取り入れる、という流れもありそうです。

記者:SNS上でNewJeansを始めとしたK-POPアイドルやアメリカのセレブ達が、Y2Kの服を着て話題に上がってるのをよく見ます。Y2Kが流行っている他の理由やきっかけは何でしょうか。またいつ頃からY2Kが流行りだしましたか?

長田さん:2021年ぐらいからだと思います。そこから3年ぐらいはアメリカのセレブのトレンドで、最初は90年代ぐらいのファッションでしたが、今年になってからは日本独自のY2Kになり、切り口が変わったと思います。

トレンドになったきっかけはK-POPアイドルがすごく影響してるな、と感じます。まずNewJeansやaespaをはじめとしたK-POPの第3世代のアイドルの人たちがY2Kのスタイルを取り入れました。そこから人々が影響されて広がっていったという印象があります。

SHIBUYA109 lab. 所長 長田麻衣さん

トレンドを追うSHIBUYA109エンタテイメント

取材した株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、SHIBUYA109渋谷店を中心に他3つの施設を運営している会社です。企業理念は「Making You SHINE!~新しい世代の今を輝かせ、願いや夢を叶える~」を掲げており、その理念を体現するのがこのSHIBUYA109渋谷店ということでした。

また長田さんが所長である「SHIBUYA109 lab.」は若者マーケティング機関です。「若者が何を今楽しんでいて、どんなことに悩みがあって、どういうトレンドがあるのか」をいろんな角度から調査をしているということでした。

国を超えて流行するY2K

記者:インスタなどのSNSを見ていると、女子高生の他に、様々な年齢層、そして世界各国でも流行しているようです。実際はどうですか。

長田さん:韓国とアメリカでも、もちろん流行しています。今まではそれぞれの国でそれぞれトレンドがありましたが、TikTokやインスタグラムで世界中が繋がって、国別の垣根がなくなり、世界全体で流行していると感じます。それによりタイムラグがなくなったことも大きいですね。

記者:Y2Kファッションでよく用いられる人気のアイテムを教えてください。

長田さん:ルーズソックスやアームカバーをはじめとした足や手元につけるものがよく使われるアイテムですね。特にアームカバーは2022年のファッション部門でトレンド大賞の1位になるほど人気があり、売っているテナントの数も増えています。また、短いトップスやキャミソールのような薄手のシャツも流行っています。小さいバッグもY2Kを象徴するアイテムだと言う人が多いです。

アクセサリーでは、スマホなどに付けるビーズで作ったリングが流行っていて、シューズでは、クロックスなどでも厚底が人気です。

記者:TikTokやインスタグラムで、「Y2Kコーデ」と検索すると、SHEINというショップがよく出てくるのですが、他に人気のブランドはありますか?

長田さん:Y2Kのブランドとは何か、というのはまだ確立している訳ではないように思えますが、Y2Kの要素を取り入れることはどのブランドもやっていますね。特にストリート系のファッションブランドだと、Y2Kテイストでいろんな服が出ています。SHIBUYA109に出店しているなかだと、SPINNSやANAPというブランドはそのような傾向が強いかもしれません。

また、先日期間限定で、先月BEEDENというブランドが渋谷109に出店していたんですけど、Y2Kをうまく取り入れている印象がありました。また、DIESELや、courrègesなどのハイブランドでも多く取り入れられています。バッグですと昔流行ったLOVE BOATというブランドが流行っていて、メルカリなどで昔の商品を発掘して買う高校生が増えています。

Y2Kファッション(写真協力:記者の友人)

繰り返されるトレンド

記者:今までに流行ったトレンドで、私達高校生が知らないような歴史はありますか。

長田さん:今の高校生より1つ上の世代、20代前半から後半ぐらいの女性たちお姉さんたちが小さい時に流行ったものに『オシャレ魔女♥ラブandベリー』や『おジャ魔女どれみ』というコンテンツや「エンジェルブルー」「メゾピアノ」などのキッズ~ティーン向けのブランドがあるのですが、最近ではこれらのコラボカフェが催されたりしています。「小さいときに好きだったものを、大人になって再び楽しみたい!」というような風潮があると思います。

またトレンドの周期はどんどん早まっている感じがします。例えば、今27歳ぐらいの人たちが小学生ぐらいに着ていたPIKOというブランドを、高校生や大学生が、「なんか懐かしくて、かわエモいから着てみよう」みたいな感じで、平成レトロのファッションの一つとして楽しまれているようです。

コスプレ的楽しみ方

記者:今後どのようなファッションが流行るでしょうか。

長田さん:昔流行ってたものをちょっとアレンジして今っぽくして楽しむっていうのはずっと続きそうだな、と思っています。2000年代初期に流行ったパンクファッションやロリータファッションは、その当時は「パンクファッションが好きならパンクファッションしか着ない」みたいな、こだわりがとても強い人が多かったんです。今の若者は1つに絞らず、コスプレ的な感じでファッションを楽しんでいます。いろんな要素を混ぜたり、ちょっとずつ更新されるテイストを楽しんでいくんじゃないかなと思います。

また今後のことで言うと、Y2Kに近未来感を入れた「Y3K」が出てきています。「3000年の未来にはこういうファッションじゃないか」と。aespaやXGなどのアイドルグループが多く取り入れていますが「昔のものと未来のものを合わせて楽しむ」ファッションがこれから増える気がします。

長田さんと記者

取材後記: 自分自身、『DEATH NOTE』や『NANA』などの平成に流行ったアニメ作品を通して「Y2Kファッション」に憧れを持っていたので、今回とても有意義なお話を聞くことができて嬉しかったです。
 特に興味を持ったお話は、若者は様々なファッションをコスプレのような気持ちで楽しんでいるというお話です。自分でもすごく共感しました。例えば「Y2Kコーデ」で友達と揃えて、平成感を味わって楽しんだり、それに合わせてプリクラを撮ったりするのもとても素敵なファッションの楽しみ方だなと思いました。コスプレ的にファッションを楽しむことで、それぞれが融合して更新されていくというのもすごく興味深かったです。
 どうしてこのファッションが流行っているのかな?と考えるとすごく深いところまで繋がっていることを知ることができました。高校生の視点を大切にして、これからもトレンドの起源や理由に目を向けていきたいと思います。

自己紹介: 女子校に通う高校2年生。自分の興味を持ったことをとことん突き詰めるのが大好きだ。極端な性格なため偏った考えを持ちがちだが、記者の活動を通していろんなお話を聞いて、視野を広げていければいいなと思っている。文章を書くのには慣れていなくて、今は少しずつでも書いてみようと思って色々なことに挑戦している。自分の興味や疑問にちょっとでも「へぇー!」と思ってくれる人がいたらいいなと思う。