記者:清水 菜々子(15歳)
取材メンバー:清水菜々子(15)、秋津文美(15)、島田大河(12)、島田菫(9)、近藤侑希(9)
テレビゲームと子ども――それはもはや切り離せない関係となっている。 街で、電車で、子どもはゲームをやっている。ある一人の少女が『ゲーム脳の恐怖(森昭雄著、NHK出版)』を読んだ。8才の彼女自身は普段からゲームを好んでやっており、読後にかなりのショックを覚えたようだ。 そこから彼女を含めチルドレンズ・エクスプレス記者は「ゲームが子どもに与える影響」と題して取材活動を進め、まずこのテーマに興味を持った者同士で座談会を開いた。「自分に影響が出ない限り、それほどの危機感はもてない」という点で全員が一致した。
そこでこの私たちの声をぶつけ、ゲームが子どもに与える影響とは何なのかを知るために『ゲーム脳の恐怖』の著者、森昭雄さんに話を聴きに行った。
森教授は日本大学・同大学大学院の教授で脳神経科学を専門にしている。上記の著書では、ゲームをすることによって”人間らしさ”の前頭前野が危機的なダメージを受けるとして、「ゲーム脳」という自説を論じている。
「確かにゲームをやったからすぐその影響が出るとは思わないんですよ」。座談会での結論に対して森教授はこう答えた。しかしゲームをする人なら誰でも経験はあるだろう、3~4時間テレビゲームをやり続けると頭がボーっとしてくる。「それでも影響が出てないと考えるか、よくよく考えれば少しは出てると思うんですよね」。それは物忘れや”ボケ”など、日常的なことに顕著に表れてくると言う。「自覚するということと、反省するということがないと、人間じゃない」と森教授は断言する。「もっと自分の脳の健康とか自分が将来どうするかということを考えれば、おのずから解決できると思っています」
ゲームの悪い影響を知らない、または意識せずにゲームをやり続ける子どものことをどう思うか、という質問に対しては一言で「すごくかわいそうだと思うのね」。「親たちがちゃんとゲームはこういう風に良くないんだよということを言ってあげないといけない」と言う。子どもにとっては自分では変えられない「環境」という中で、知らず知らずのうちに脳がおかしくなってしまったらどうすることもできないだろう。もしやるのなら中学生、できれば大学生くらいからが望ましいようだ。その理由は、幼児期にテレビゲームをすると理性や創造性を生み出す「前頭前野」の機能が低下してしまうからだ。森教授は、1歳半からゲームをやり始め現在7歳の子どもでゲームをすると泡を吹いて痙攣を起こしてしまう子が実際にいることも教えてくれた。
またコンピューターについても「いかに上手に使うか。共存していかないといけない」。便利なコンピューターを使うのは構わないが、手で、つまりアナログで文章を書くことを怠ってはならないと森教授は言う。「コンピューターも使うけども、それ以外に手書きで日記を付けるなどと、平行してやっていかないといけない」。デジタルに偏ったらアナログに戻る、そういうバランスが求められている。
私たち子どもにとっては「適度に」ゲームをするのは至難の業だ。それならばむしろ最初からやらない方が子どもにとっては楽なのかもしれない。冒頭に述べた少女も、脱ゲームをさらに強く決意した。「テレビゲームとは機械とのコミュニケーションという形。人間というのは人の間と書くでしょ。人と接することが人間なんだよ」
最後に森教授からのメッセージを。「やりすぎるとダメです」