記者:藤原沙来(17)

 女性ファッション雑誌を見ると“お化粧は社会人としての当然のマナー”というようなキャッチフレーズはよく見られる。そして、近頃は小学生を対象とするファッション雑誌にも化粧に関する記事をよく目にするようになった。小学生が化粧をすることは、高校生が髪を染めることやパーマをかけることが一般化しつつあるのと同様に現代文化の一つになっているのだろうか。

 化粧の特集記事を掲載する小学生対象のファッション雑誌や、キャラクターがプリントされた小学生向けの化粧品を取り扱うコスメ店などが、2年程前からよく見られるようになった。果たして小学生は実際に化粧をしているのか、原宿や表参道、渋谷で街頭取材を行い調べてみることにした。

 表参道のKIDDY LANDの店員は「現在は取り扱っていないが、2年程前に小学生向けのファッション雑誌と提携して化粧品のブースを設置していた」と言う。また、渋谷109 2号館のコスメティックパーラーの店員は「低学年を対象としているので親と一緒に買いに来る子が大半。誕生日やクリスマスなどのイベント時に親がまとめ買いしているのが目立つ」と話した。このように最近、小学生は洋服のおしゃれと同様に化粧をすることに興味を持っている様子が分かった。ところが、街頭取材中、化粧をしている小学生には1人も出会わず、化粧をすることに興味があるのは10人中5人、化粧品を持っているがしたことがないという子は13人中8人だった。このような結果を受けて、雑誌で特集をするほど小学生で化粧をしている子はたくさんいるのか疑問を持った。

 そこで、2007年 春号に小学生の化粧の特集を組んでいた『ニコ・プチ(新潮社)』へ、なぜ小学生を対象とした化粧の仕方の記事を取り上げているのか、そしてそもそもなぜ小学生が化粧をするのであろうか、4月26日、編集長である山元 琢治(39)に取材をした。

 山元氏は「『ニコ・プチ』は12万部発行で、付属のアンケートの返答は毎号約2000部。ネットでのアンケート結果も含めて集計したところ、答えてくれた小学生の半分が化粧に興味があることが分かった。本誌のアンケートでは“2人に1人がお出かけの時に化粧をする”結果も得られた。それで、小学生の化粧特集を組んだのだけれど、この特集で言う化粧は発表会などのイベント時におしゃれをすることであって、日常の化粧を指しているわけではない」という。

 では、”2人に1人がお出かけ時に化粧する”という結果があるのに、なぜ我々の街頭取材では1人も見つからなかったのだろう。「『ニコ・プチ』はおしゃれに関心の高い親が娘に買い与えることが多いため、アンケートに答えてくれる子どもも、普通よりおしゃれに興味があるのでは。」と山元氏は分析する。

 確かに“2人に1人はお出かけのときに化粧をする”という記事はデータ通りである。しかし、アンケートに答えた小学生の大半が化粧に関心が高いということを知らない一般人は、「最近の小学生の2人に1人が化粧をしている」という捉え方をしかねない。山元氏は「小学生の化粧がブームというのは乱暴な言い方だと思う。シチュエーションでメイクをしているわけで、ブームだとは言っていない」と雑誌があおるようなことはしていないとはっきり言った。

 山元氏も「イベントなどに化粧をしてくる子はほとんど見ない」と言うように実際のところは化粧品に興味があっても、100円ショップで購入して手にすることに満足し、親や姉妹から借りて家で使ってみることに楽しみを感じているようである。

 いくつかの小学生の化粧品を取り扱うコスメ店に行ってみても購入している小学生に出会うことはなかった。50%が化粧に興味があると答えたニコ・プチのイベントにも化粧をしている子はほとんどいない。つまり、雑誌特有のあいまいな表現から「小学生の化粧=化粧の低年齢化」は独り歩きして、化粧の低年齢化が進んでいるように見えるだけなのだ。   小学生の中にも、雑誌の情報にすぐ反応する子もいれば、全く関係ないと思う子もいる。現在のあふれる情報を、自分の好みや感性で上手に選択しているとも言える。今の小学生は、大人が考えるよりも冷静に、客観的に世の中を見ているのではないだろうか。

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