2023年8月8日から10日の3日間、グランフロント大阪にあるロート製薬株式会社で、高校生を対象としたプログラム「アントレプレナーシップ育成に向けた新たなカタチ」が開催された。ユースエクスプレス・ジャパンの西岡ニコラス記者(17)が広報・CSV推進部 広報・CSVグループ マネージャー徳永達志さんと、このプログラムの中で講演を行なった大阪大学の現役大学生で起業家の山田果凜さんに取材しました。
文部科学省の資料「アントレプレナーシップ教育の現状について」によると、世界アントレプレナーシップに関するランキングで日本は26位だという。そんな中、ロート製薬は、今年で2年目となる高校生向けのインターンシッププログラムを開催した。これは、企業人と高校生が協働しながら、社会人・学生双方がアントレプレナーシップについて学び合うプログラムだ。普段接しない立場の者同士が一緒になることで刺激を受け合い、更に高い学習効果(越境学習効果)があることに期待を寄せているという。
このプログラムに関わった徳永さんは「自分が高校生の頃、大人と出会ったり、アントレプレナーシップ(entrepreneurship、起業家精神)という言葉について考えたり行動したりする機会は全くありませんでした。大人というと、先生や親ぐらいしか知らなかった」と言います。社会人になって、高校生が会社訪問をする機会などに接し、「大人と高校生が出会う場を作りたい」と思うようになったそうだ。
昨年、初めてプログラムを開催し、「今の高校生ってこんなすごいのか」と感じたという。今年はさらに多くの社員を巻き込むことで、越境学習効果を狙っている。また、今年は大阪大学と共同で開催され、現役大学生の起業家である山田果凜さんの講演が行われた。山田さんは小学校で問題児扱いをされたのがきっかけで、10歳からタイの田舎町へ母親と弟3人と移住した経験がある。その後、父親のインド出張に同行したのをきっかけに14歳でボランティア活動を始めた。19歳で「世界中の子供達が自由に未来を描ける社会」を作るため起業した人だ。
講演後の山田さんにいくつか質問した。起業するには東京に行く必要があるのかという問いには、「周りの起業家もほとんど東京に吸い寄せられています。ただ東京は人が多い分、埋もれてしまいやすい。私は最初の起業を沖縄でしました。地方だから私のような者がある意味目立つので、予算面も含めてサポートを受けやすかった。地方に行って起業するというメリットはこれから増えていくと思います」と教えてくれた。
「『未来を担う若い人たちの力になれるんだ』ということを社員に学んでもらえるかもしれない」と徳永さんは言う。今回のプログラムは、社員と高校生がゲーム形式のワークショップやアイデア発想を協働で取り組むことで、お互いに刺激を与えあった。このような取り組みは企業が教育に関わる一つの形を示している。
徳永達志さん、山田果凜さん、この度は取材にご協力いただきありがとうございました。