記者:三崎友衣奈( 15 )

 近年関心が高い環境問題の中でも日本の大きな課題である廃棄。「 MOTTAINAI 」が世界に知られていても、当の日本では全国で一日 33000 トン、東京だけで 6000トンの食料が捨てられている。

 なぜ、こんな大量の食料が捨てられなければならないのだろうか。少しでも捨てる量を減らすことができないのだろうか。

 セカンドハーベスト・ジャパン( 東京都台東区 )は、食品メーカーから余った在庫を寄付してもらい、それを生活困窮者や孤児院などへ無償で配給している非営利団体( NPO )だ。 2000 年よりホームレスに食事を配給する炊き出しを始め、 2002 年からは正式に NPO として今の活動を試みた。

 浅草駅からほど近いその事務所には、幅が 4 , 5 メートルほどの奥の広い場所に、ダンボールが所狭しと積み上げられている。そこにある中央のテーブルの横にある人が一人通れるくらいの通路の間をスタッフが縫うように作業している。

 一見、何の問題もないように見えるこのダンボールの多くは、運搬中に段ボールに傷ついたというだけで問屋やスーパーに受け取ってもらえなかったものなのだ。中身は問題ないのに、なぜ受け取られないのか?「日本の消費者は厳しい」。理事長のチャールズ・ E ・マクジルトン氏は苦笑いした。

ハインツ日本株式会社へ取材

 ハインツ日本株式会社では 2003 年からセカンドハーベスト・ジャパンに対して常温のレトルトのカレーや缶詰のスープなど、月に 300 ~ 400kg の食品の寄付を行っている。

 食品メーカーは一定期間にどの商品がどの程度売れるか、販売予測を立てるのだが、やはりどうしても余ってしまうそうだ。「消費者の『できるだけ新しいものがいい』という厳しい見方があるとともに、缶がへこんでいるなどの見た目の良くない商品は受け取ってもらえない」と池田真理子広報室マネジャーは語る。

 株式会社ローソンは 2006 年6月から 横浜市中区 の「さなぎの食堂」に販売期限が切れ、かつ消費期限は切れていないパンや弁当などを寄付している。「さなぎの食堂」では、それを再加工した温かい食事を寿地区の路上生活者を対象に低価格で提供している。

 ローソンでは弁当などの食品には厳しい販売期限を設け、それが切れた場合、すぐに店頭から下げている。これらの多くは消費期限が切れるまで数時間あるものばかりだ。「万が一事故があってからでは遅い。 100 %安全でなくては店頭におけない」と CSR 推進ディレクターの篠崎良夫氏は語る。

 篠崎氏によると「日本で PL 法が施行されてから、米国とは違って寄付した後でも生産者の責任が続くことから、多くの食品メーカーはリスクを感じてこのような活動に積極的でない」そうだ。セカンドハーベスト・ジャパンのマクジルトン理事長は、「日本は『念のため』が多すぎる」と語る。不二家の一件でも、外国からみればおおげさに見えるそうだ。

ローソンへ取材

 ハインツの企画担当執行役員のポール・モリ氏もリスクを分かった上で「今のところ問題はないので続けていく。結果としてはイメージアップになっている」と笑顔を見せた。

 食に対する安全は、賞味期限という数字だけでなく自分で判断する力も必要だ。「念のため」に余裕期間を見込んで定めた賞味期限を少しでも過ぎると食べなくなる。このような消費者の数字に依存した姿勢が、生産者にプレッシャーを与え、結果として大量の無駄を出しているのではないだろうか。

 私たちが毎日食べているのは、念には念を重ねた上で出荷されている食品である。それを我々が贅沢にも捨てている陰で、多くの人々が飢餓で苦しんでいるのを忘れてはいけない。


食べ物の裏事情

記者:大久保里香(15)

東京では一日 6000 トンもの食べ物が捨てられている。「日本では、食べられるものを捨てすぎではないだろうか?」この先進国ならではの問題について興味を持ち調べ始めた。

 現在日本の企業は驚くべき理由で食べ物を捨てている。商品のパッケージに傷がつくと中身に問題がなくても捨てることは当たり前であり、スーパーなどのお店が引き取ってくれないという理由から、商品が入っているダンボールに傷がついただけ、賞味期限が三分の一過ぎただけでも商品を捨ててしまうのだ。こういったまだ食べられる食品を有効活用しようとする活動がフードバンクだ。 

セカンドハーベスト・ジャパンへ取材

 このフードバンクの活動をしているセカンド・ハーベスト・ジャパンというNPO団体に取材に行った。この団体は企業からまだ食べられる食品を引き取り、その食品を炊き出しに使ったり、経済的に苦しい人たちに配ったり、福祉施設に提供している。日本ではこのフードバンクの活動はあまり知られておらず、フードバンクに食品を提供してくれる企業はまだ少ないそうだ。また提供をしている企業を調べてみるとほとんどは外資系の企業であった。「日本では捨てられるものが多すぎる。もったいないと感じ、捨てられる食品を有効利用できないものか、と思ったのがこの活動を始めるきっかけ」だと、セカンド・ハーベスト・ジャパンのチャールズ・マクジルトン理事長は語った。

 アメリカでは、フードバンクの活動は活発に行われており、食品を提供した後は食品の製造責任はフードバンクに移るといった企業が提供しやすくなるような法律も定められている。日本は食品を製造した企業が最後まで責任を負わなくてはならない。このことが、日本ではフードバンクが浸透していないこと、そして食品を提供することで企業へのリスクが増すために提供することをためらってしまう原因であると感じた。

 日本企業でありながら食品リサイクルを積極的に行っている株式会社ローソン執行役員の篠崎良夫氏は、企業が食品リサイクルやフードバンクにあまり取り組まない理由として「万が一でも食品で問題が起きたら製造者が責任を取らなければならい。日本の現在の法律では活動をするのに企業に多大なリスクが伴い、法律が変わらなければ活動は浸透しない」との理由を挙げていた。

 コンビニのローソンでは、食品のリサイクル活動のひとつとして、余ったまだ食べられるお弁当やパン、工場で余ったお弁当の残り物を「さなぎ達」というNPOの団体が経営している食堂に食品を提供している。この食堂では、提供された食材を使って料理を作り、安い価格で横浜市中区の寿地区の生活困窮者の人たちに食事を提供しているのだ。

 そもそも、日本でこんなにも多くの食品が捨てられるのは私たち消費者側のせいでもあるのではないだろうか。私たちは商品の中身に問題がないとわかっていても傷がついた商品を進んでは買わないだろうし、賞味期限もなるべく遅いものを買おうとする人も少なくない。私たちが捨てられる商品を間接的に作っているともいえる。もし、消費者が傷のついた商品を進んで買うようになったり、賞味期限が古いものから買うようになったらきっとダンボールに傷がついたり、賞味期限が三分の一以上過ぎてもスーパーなどのお店も商品を引き取るようになるだろう。  

  日本にも、生活困窮者は多くいる。十分に食べることができない人がいるにもかかわらず食べられる食品を捨てるのが当たり前になっている日本の社会はおかしいと思う。国内でフードバンクや食品リサイクルの活動が広まり活発になれば、食べられる食品の廃棄量をゼロにすることも可能になり、その食品で生活困窮者の人も毎日きちんと食事が取れるようになるかもしれない。私たち消費者はできる限り企業が廃棄する食品を出さないように買い物をするときに気を配らなければならないし、企業はできる限り食品を有効に使うように努力しなければならないと思う。そうすれば、きっと食べ物が日本内ですべての人々にうまく循環するだろう。