毛利 美穂(15)

 昨年2010年は「少女時代」、「KARA」など多くのk-popガールズグループアイドルが進出し、「K-popアイドル」という言葉をテレビで聞かない日はないほど、若者達を中心に一大ブームとなった。なぜ、今K-popアイドル達は日本の若者に高い人気を得ているのだろうか?

 K-popアイドルの日本進出は、日韓共同主催のサッカーワールドカップが開催された2002年に始まった。しかしこのときにデビューした多くのアイドル達の進出は失敗に終わったといわれている。K-pop歌手が日本で大きな成功を収め始めたのは2007年だ。

 この年から韓国では自分のソーシャルセキュリティパスワードを使用せずにミュージックビデオなどをネット上で見られるようになったことが大きなきっかけとなった。

 当時、韓国では男性5人組アイドルグループの「東方神起」が国民的人気を得ていた。日本でも活動を活発化していた彼らの韓国での活動を、インターネットで観られるようになり東方神起人気が日本でも高まり始めた。やがて東方神起ファン達の間で、韓国でブームとなっていたK-popガールズアイドルグループを中心に多くのk-popアイドルたちが人気を得るようになった。

 多くの韓流スターグッズ店がひしめき合う東京・新大久保でk-popアイドルファンに街頭取材したところ、K-popアイドル達に感じる魅力は「歌唱力、ダンスなどパフォーマンス力の高さ」という声が多く聞かれた。
その高い能力について、日本におけるK-popの第一人者といわれる古家正亨氏は「日本と韓国のアイドルにおける違いは、彼らの置かれている環境の違いから来ているものが大きい」と指摘する。

「韓国でアイドルになるには、まず各事務所が開いているオーディションに合格しなければならない。このオーディションの倍率は5000倍だ。日本ではオーディションに合格すればほとんどがデビューできるのに対して、K-popアイドルは練習生として長く厳しい練習期間を経てデビューしている。この間、練習生達は毎日ダンスと歌のレッスンに加え、外国語の練習などもこなす。そしてその中で、デビューのために周りとの差別化を図るうちに次第に実力がついてくる。彼らの高い実力は才能ではなく、厳しい競争社会の中で努力によって生まれたものだ」と古家氏は語った。

「その高い実力と人気を持つK-popアイドル達は、もはやひとつの国家政策となっている」と古家氏は話す。2003年末に韓国ドラマ「冬のソナタ」が大ブームとなり、韓国はアジアを始めとする海外へ韓国のエンターテイメントを更に広めるため「韓国文化コンテンツ振興院」を作った。このような支援も受けK-popアイドル達は世界第二位の音楽市場であり、韓国と比べ30倍の市場である日本へ進出するのだ。さらに、アイドル達の所属する事務所と民間企業が提携し、関連商品の売り上げでも大きな力を見せ始めた。古家氏は、「この成果が発揮され始めたのは、やはり東方神起が大きな人気を集めた2007年からではないだろうか」と話す。

  こうした国をあげてのK-popアイドルへの支援や、誰もが口ずさめるキャッチーな楽曲と長く厳しい練習生期間を経て得た高い実力が、ポップアイコンが多様化し大衆が憧れる存在がいなくなり始めた日本において大きな人気を得た理由なのではないだろうか。

韓国大衆文化研究家の古家正亨さん

「自分には出来ないことをしてくれる憧れの存在がアイドルだ」と古家氏は言う。ブームとしてのK-popアイドルたちはいつか去ってしまっても、大衆の憧れである「実力派アイドル」として彼ら、彼女らは、世界に韓国エンターテイメントを広げていく予感がする。