出席者:近藤侑希(10才)島田 菫(11才)佐藤美里菜(11才)三崎令雄(12才) 三崎友衣奈(12才)原 衣織(12才)石塚麻由(12才)
司 会:関口ひとみ(16才) 2004/6/20

 池田小の事件以来、学校の安全に対する信頼は崩れ始めているとは言え、佐世保の小学生女児殺害事件の衝撃は、やはり日本中に衝撃を与えた。事件後、全国の小学校では何らかの指導が行なわれたようだ。学校も各種メディアも、おとなたちは今、この事件に何らかの結論を出そうと必死になっている。しかし、当の子どもたちはそうしたおとなの対応をどう見ているのか? そしてこの事件をどうとらえているのだろうか?この事件の少女たちと同年代の小学生・中学生のCE記者たちが、話し合った。

学校の対処法は意味がない
ひとみ: この間の小6事件についてどう思いましたか?
菫: すごく身近で、普通の状態で起きたことだったのでびっくりしました。
令雄: コンピューターでだったらみんなやっているし、どこで起きてもおかしくないので、ちょっとこわいなと思いました。
衣織: 私より1才下の子が人を殺すなんて聞いて、びっくりしました。
麻由: 女の子同士のつきあいが難しいとか、そういうことで人を殺してしまうことがあるんだと思ってびっくりしました。
ひとみ: みんなの学校では事件後どういう対応をしている?
令雄: 「心のノート」を書かされました。それは自分が10年後、20年後になった時の今までの傷痕みないな、自分のことを書くものです。
侑希: 事件で感じたことをみんなで言い合って、それを受けて自分はどうかということを書いて廊下に貼り出しました。
菫: カッターナイフの学校持ち込みが禁止になりました。
美里菜: 交換日記が禁止になりました。あと、ホームページもあんまり作ったりしない方がいいかも、という話もありました。
友衣奈: 「命を大切にしましょう」と、朝ちょっと言われただけでした。
衣織: 校長先生が小6事件についてちょっと話しただけでした。
ひとみ: そういう学校の対応って本当の解決になっていると思う?
菫: 全然なっていないと思います。あの時に使われたのはカッターナイフだけど、カッターナイフでしか人を殺せないというわけではないから、そういうことをしても意味がないし、具体的な対策は何にもしていないから、全然意味ないと思います。
侑希: 交換日記が禁止になったとしても、ホームページにしても、悪口を書かないという決まりをつくればいいことだから、そういうことを禁止にするのは意味がないと思います。
美里菜: 悪口を言ってはいけないというルールをつくっても、言う人は言うし、交換日記は先生に見せるわけではないから、何でも書けるし。交換日記は書く人の問題だと思うから、禁止にしても全然意味がないと思う。
麻由: 交換日記を禁止しても、友達同士で陰で悪口を言い合ったりということが無くなるわけではないから、全く意味がないと思う。
令雄: カッターナイフを禁止にしても、持ってこようと思えば持ってこられるし、「心のノート」も、殆どの人がそのノートに本音は書かないので、意味がないと思います。
ひとみ: 「命の大切さ」ってどういうふうに指導されたらわかると思う?
友衣奈: 道徳なんかの授業で「命は大切です」なんていわれたこともあるけれど、全然ピンとこなかった。でも小学校のとき、男子がふざけて階段から女子をポンと押して、ちょっと倒れた事件があって、それで命の話があったので、実感がわいて大切さががわかりました。
衣織: 校長先生に「命は大切です」なんて熱心に言われても、今回の事件のように嫌なことがあって頭に血がのぼっていたら、命の大切さなんて頭の中から飛んじゃって、そんなこと考えないから、あんまりピンと来ないのではないかと思う。
麻由: 「命が大切だ」といわれても、なんかあまりわからないと思うし、実際にこういう事件がおきてからでないと、身近に感じられなくて、よくわからないことがあると思います。

学校や親に望むこと—適度な距離と真剣に受け止めてくれること
ひとみ: 子どもたちからは大人にどのように対応してほしいと思っている?
菫: 大人の目を離れたら何でもできるというのではなくて、いつでも、誰かがどこかで見ているようにしてほしい。トラブルがあったら必ず対処してほしい。
ひとみ: でも踏み込んでもらいたくないこともあるでしょう?
菫: あるけれど、嫌なことがあったら、先生に相談できるような環境を作ってほしい。
令雄: あの女の子は「バトルロワイヤル」を見ていたようだけど、お母さんはそういうことは知らなかったようだから、大人が見張っていても子どもは裏でそういうことができたりする。子どもが「バトルロワイヤル」を見ているところで命の大切さなんかを指導していれば、こんなことにならなかったと思う。
ひとみ: 親にここまでならいいけれど、ここからは干渉してほしくないってことある?
美里菜: 親とかにちゃんと見ててもらったら起きないという意見もあったけれど、見方によると思う。親が見るときにあまりうるさく言うのではなくて、悲しいことがあったら、その子の顔で直ぐ分かると思うから、その子の気持ちを色々読み取ってあげられるお母さんの存在が大切だと思う。
菫: 勝手に人の部屋に入って、ノートなんかを勝手に見られるのは、いや。
衣織: 私だったら、友だちとのことで悩んで、親にちゃんと聞いてほしいと思ったら自分から言うので、親から「友達関係はどうなの?」とか「交換日記やっているけど平気なの?」とか、「チャットはやめた方がいいんじゃない?」というようなことは、自分から何か言うまであまり言ってほしくないです。親にも先生にも、自分から話さない限りは、自分のホームページをみたり、交換日記禁止のような踏み込すぎることはしてほしくない。相談したら、ちゃんと聞いて「こうした方がいいんじゃない」ってことをいって、その後もきちんと見守ってくれるようなのが理想的です。
ひとみ: 親と学校で対応してほしいことは違う?
菫: 学校でやってほしいのは、友達関係ではなくて、環境作りのことをしてほしい。
親には精神面のことをふつうに相談できるようであってほしい。
ひとみ: 学校の環境を整えるということって、具体的に言うとどういうこと?
菫: ちょっと奥へ行くと誰も先生がいないような状態はいやです。例えば今回の事件みたいに、学習ルームの方には誰も先生がいなかったから、止める人もいなかったし。どこにでも先生がいるような安心感、「学校にいれば絶対安全だ」というような安心感がほしい。
ひとみ: 親には精神面をと言ったけれど、具体的にどうしてほしいと思う?
菫: 例えば相談したときに「あ、そうなの」と軽く受け流すのではなくて、真剣に聞いて相談相手になってくれるようであってほしい。
ひとみ: 自分のことを、顔色を見ただけでもちゃんとわかってくれるような、そんな感じの親?
菫: そう。
侑希: お母さんが気づかないような学校であった問題を、先生はしっかり気づいて、それにあった対応をしていくべきだと思います。
友衣奈: 学校では先生が生徒に気づくべきだというけれど、授業が終わって、先生が見ていなくて、二人きりの時に言うことが多いと思うので、先生が全てを見るというのは無理があると思います。
侑希: 先生が子どもの行動とか表情でわかってあげるべきだと思います。
衣織: ある程度は先生は子どもの顔色で「この子、元気がないな」ということはあってもいいけど、いきなり親に連絡はしないでほしい。子どもの方に軽く「何かあったの?」みたいな感じでまず聞いてほしい。子どもが真剣に悩んでいて、親にも知らせてほしいと言ったらいいけれど、勝手に深刻じゃないかと思って親に言ったりするような、踏み込みすぎはいやです。
令雄: 学校は子どもたちが暴力を使ってしまったら、そこから対処してほしいし、しかも両方の立場を考えてほしいから、どちらが悪いということより、何でこういうことが起こったかということを知ってほしい。親には聞かれたくもないし、踏み込んでほしくない。親は、命の大切さなんかを小さい頃から言ってくる方が効果的かなと思う。
ひとみ: みんなは悩み事があったら、親に相談する?
菫: 悩みごとによるな。
衣織: 悩んだ時はお母さんに聞いてほしいなと思うこともあるけれど、やっぱりお母さんに相談しても友達関係とか、クラスの中の事情とか、あまりわかってくれないこともあるから、私は友達関係で悩んだら、友達に相談すると思います。
令雄:ぼくも親しい友達のように、言える人に言う方がいい。他の人に言っても、その人から他の人にばらすことがあるから、絶対信頼できる友達とかに言った方がいいと思う。
ひとみ: 言える人と言えない人がいるよね。
衣織: 親は、私があからさまに傷ついたという感じで帰ってきたり、泣いて帰ってきたら「どうしたの?」みたいな感じで聞くけれど、私は自分から親に相談するまでは、あんまり立ち入ってほしくない方なので、なるべくわからないようにしています。だから、よほどのことがあって、私が親に相談しない限り、親に悩みを話したりしません。
ひとみ: みんなもそんな感じ? 自分から言わない限り、あんまり踏み込んでほしくないと思っているんですね。

大人はモノに責任を負わせている!
ひとみ: 大人やマスコミがこの事件に関して色々コメントしていることに対してどう思う?
友衣奈: 交換日記とか、カッターナイフ持込禁止というのは外見だけで、精神面では何もしていないし、そんなものを禁止しても何も変わらないと思うので、外見より精神面を大切にした方がいいと思います。
侑希: インターネットでもやり過ぎないようにとか、危ないことをしないように、という注意ならわかるけれど、インターネットをすることを否定するのはおかしい。インターネットをしない方がいい、というのは大人が思っていることで、子どもの意見も聞くべきだと思う。
友衣奈: 大人が色々言って決め付けるのは間違っていると思います。これは子どもが自分の意志で起こした問題だから、大人がインターネットがだめだとか殺人映画が身近にあるのはよくないとか決め付けるのは、よくないと思います。
令雄: 大人は「命の大切さ」の指導がちゃんとできないから、インターネットとか「バトルロワイヤル」という映画が悪いとか、物に責任を負わせていると思う。
衣織: 私が事件を起こした女子だったら、自分で事件の原因をまだきちんと話していないのに、「バトルロワイヤル」の影響もあるだろうとか、インターネットもそうだとか、学校でこういうことがあったからそれも原因だろうとか、そういうふうに大人が勝手に決め付けたりするのは本当に嫌だと思うから、そういう報道を見ると事件を起こした子が、逆に可愛そうだと思います。
ひとみ: どうしたらこういう事件を防げると思う?
令雄: 計画的にやったと言われているけれど、確かに頭に血がのぼっていたかもしれないけれど、われを忘れていたとは思わないし、本当にこれでいいのかと思う時もあったと思うから、そのときに自分の感情をちゃんとコントロールして冷静に考えられたらこんな事件は起きなかったと思います。
衣織: 計画をしている時に、実行したら普通の生活が送れないということぐらい6年生だったらわかるはずなのに、それでも殺すしかないという何かがあったわけで、そういう時にきちんと親や友達とかに相談していればなと思います。自分では解決できなくて、殺すしかないと思い詰めたのが、すごく可愛そうだと感じました。
侑希: 亡くなった子に悪口や嫌なことを言われたからカッとなって殺したみたいなことが報じられていたけれども、何回も悪口を言われたくらいで人を殺そうという気には、小6なんだから、いくらなんでも思わないと思う。やっぱり悪口を言われただけではなくて、その前にその子と何かトラブルがあったと思う。それでもやっぱり殺すことはいけないことだし、殺す以外の方法がいっぱいあったはずだから、話し合うとかをしっかりやっていれば、殺すところまで至らなかったと思う。

(終わり)