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記者:福田有佳 Ayaka Fukuda(16)

 近年、頻繁に取り上げられているジェンダー問題。その解消に取り組むLLAN(LGBTとアライのための法律家ネットワーク)という法律家団体があると聞き、どのような活動を行っているのか知るため、2023年10月27日に東京アメリカンクラブで開催されたLLAN主催の第8回Equality Galaに参加しました。

 LLANは2016年2月に藤田直介氏とアレクサンダー・ドミトレンコ氏が共同代表となって立ち上げた団体で、2017年9月に東京都の特定非営利活動法人として認証されました。LLANのウェブサイトには団体のミッションが次のように書かれています。

実務法律家としての経験と知識を活かして、法制度の調査研究、法律上の論点に係る提言などを通じて、LGBTその他のセクシュアル・マイノリティに関する理解そして対話を促進し、性的指向や性自認を理由とする差別を解消するための法的支援等を行い、もって個人の尊厳と多様性が尊重され、すべての人々が安心してその能力をフルに発揮して活躍することのできる平等かつインクルーシブな社会の実現に貢献すること.

LGBTとアライのための法律家ネットワーク

 その活動の一つであるEquality Galaは、2016年10月に第1回が開催されたもので、今回が第8回となります。

会場の様子

  Equality GalaはLLAN賛同団体やスポンサー企業向けに行われる着席形式のパーティーで、国内外の法律事務所、不動産やソフトウェア企業、投資銀行など幅広い業界から200名もの方が参加されていました。参加者同士の交流も活発に行われ、会場内はLLANの目標である「すべての人にとっての平等かつインクルーシブな社会」を実現したいという熱気に包まれていました。

配布されたプログラム

 プログラムは多岐にわたっており、LLANの活動報告や日本におけるLGBTの権利の平等に関する現在の動向についての紹介のほか、日本においてオープンゲイ当事者として初めて公職に選出されたことで知られる石川大我参議院議員の講演なども行われました。石川議員はとても気さくな方で、直接お話もさせていただきました。また、ドラァグクイーンとして活動をされているドリアンロロブリジーダさんの特別公演では歌と踊りのパフォーマンスが披露され、非常に盛り上がりました。

 食事をいただいたテーブルでは、森・濱田松本法律事務所所属の弁護士である大谷悠紀子さんにお話を伺いました。大谷さんは中学2年生までイギリスで暮らしていたため、イギリスではゲイやレズビアンであることをオープンにしているカップルを日常的に見かけるのに、日本にはそれほどいないことに気づいたそうです。その経験が一つのきっかけとなって現在勤める法律事務所に入り、LGBT問題に携わるようになったとおっしゃっていました。

 閉会は、LLAN理事であり、LGBT当事者でもあるジョン・グレイ氏によって締め括られました。ジョン・グレイ氏の秘書の方によると、彼は学生時代からの長い付き合いの同性のパートナーと昨年ニューヨークで結婚の届け出をしたそうです。日本で同性婚が認められるまで披露宴は延期中とのことで、日米の現状を当事者として肌で感じているジョン氏の言葉はとても興味深いものでした。ジョン氏には改めて取材を申し入れたいと考えています。

イベント参加を終えて

 同性婚を法律や判例で認める国は今や世界で急速に増えており、同性婚やそれに準ずるパートナーシップ制度が国家単位で整備されていないのは、主要7カ国(G7)の中で日本のみとなってしまいました。日本においてそのような法整備が整う日はいつになるのでしょうか。LLANが現状に対しこの先どのようなアプローチを行うのか、注目していきたいと思います。


編集後記:
 初めての取材活動で記事を書く上での勝手も分からず、筆が止まる事もありましたが、なんとか書き終えることが出来て一安心しました。また、今回の会に参加したことで、こんなにも沢山の大人が真剣にジェンダー問題に取り組んでいることを再認識し、自分も精進したいと思いました。

記者雑感:
 最近、友人に貸してもらった朝井リョウさんの『正欲』を読了しました。幼少期は好きで仕方なかった読書ですが、電子機器の使用と共にその量も質も反比例しているように感じます。『正欲』は文字通り「読む前の自分には戻れない」一冊です。是非手にとって見て下さい。