私たちがつくる、私たちの未来

堀友紀(16)

 今、国際的に重大な課題となっている環境問題。この問題に対し、多くの国や企業がどう取り組んでいくかが問われている。そんな中、環境NGOがどのように環境問題と向き合い活動しているのか? また私たち、若者にできることは何があるのか? 今回、世界100カ国以上で環境保護活動を行っている環境保全団体の世界自然保護基金(WWF)をたずね、WWFジャパン自然保護室・気候変動プログラムリーダーの山岸尚之さんに話を聞いた。

 1997年の京都議定書では、日本は2008年~2012年で温室効果ガスの排出量を1990年の6%削減させるはずだった。 しかし現実では、2007年時点で9%増加していた。 この事について山岸さんは、「日本政府は部分的な対策で済ませてしまい、深入りをせず、だいたいで行ってしまっていた。 削減のための法律やルールを作るべきだった」と反省点をあげていた。 これに対し、新たに鳩山政権が中期目標として掲げた25%削減について伺うと、胸を張って「達成することは可能です」と山岸さんは断言した。 これには、温室効果ガス排出量の多い石炭の使用を減らすこと、日本の住宅の断熱基準を改善し、冷暖房の電気使用量を減らすこと、などを具体策としてあげていた。

 この自信の裏には、今度こそはと前の反省を生かし、目標の確実な達成を求めてWWFがすでに動き出していた事実があった。

 WWFが25%削減のために行っている活動について、山岸さんは主に三つあるという。
 一つ目は、気候変動に関する政策決定の意見を政府に提案することだ。 NGOであるWWFが具体的な政策を提示することによってより多くの意見が反映されることになる。
 二つ目は、「クライメート・セイバーズ・プログラム」というプログラム。 これは、参加企業がWWFと話し合って温室効果ガスの削減目標を設定し、目標達成をしようとするものだ。NGOが監視しているという意識から削減実行を促そうというのが狙いである。 WWFの呼びかけに応じ、多くの企業が参加し、幅を広げているという。
 三つ目は、「『温暖化の目撃者たち』プログラム」だ。温暖化による影響は途上国や社会的に立場の弱い人たちに集中してしまう。 このような、既に温暖化の影響を受けている人々のところに自らが出向いて声を集め、その人たちの声を世界に発信することで、地球温暖化をより身近に感じてもらうことを目指している。たとえば、アルゼンチンのサンタフェ州でからは、降水量の増加により、ラ・ピカサ潟湖が7年間に3倍に拡大し、町の一部が沈んでしまい、牧畜や農業を営むことに困難が生じている、といった証言が報じられている。

 これらはWWFだけで行動を起こすのではなく、他の企業とともに削減に取り組むことで互いに関係し合いながらいい流れで温室効果ガスの削減に貢献できると思う。そこに 、環境保護団体としての役割が見えてくる。

 しかし、このような活動内容は、若者にとっては理解しにくいものであり、自分自身が行動する事に直結してこない。 若者たちがどのように環境問題に関わるかが盲点となっている。 そこで山岸さんに聞いてみた。 何をしていいか分からなくて戸惑っている若者に対し、山岸さんは「まずは身近なことから!」と話す。例えば、水を出しっぱなしにしない。電気を付けっぱなしにしない。 公共交通機関を利用する。 自分が買おうとしているものが本当に環境に優しいものなのか、配慮したものなのか、チェックする。 また、アンケートなどがあれば、環境を気にして買っていることを企業にアピールする。そうすることで、製品を作っている企業側も気にするようになる。 そして、親子の会話で少しでも環境問題に触れる。 そうすることで、大人は環境について考えるようになるという。 これらは今からでもできてしまうような、本当に身近なこと。些細なこと。ちょっとした意識を持てばできることだ。少しのことからでも、身近にある環境問題に関わっていくことはできるのだ。 地球温暖化の影響は自分たちの目に見えないところで起き始めている。

 今まで、私は気候変動のことをよく知らなかった。何をすればいいのか分からなかった。だが、もはや知らなかったでは済まされない。
 今、自分がこんなことをしたら、誰がどんな思いをするのだろうかと、常に自分と直結させて想像をすることが大切だ。 そうすることで、少しずつ環境問題に貢献できるのではないだろうか。
 私たち「今の若者」は、これからの環境問題に大きく関わっていかなければならない当事者である。 大人たちから地球を受け継ぐものとして、私たち若者に向けられている期待に精一杯こたえたい。 そして自分たちが築いた将来の地球は、次の世代に手渡していく。  自分の将来を真剣に考え、自分たちの力で未来を変え、作っていくことが必要だ。今から、ここから。


気候変動は今の問題、子どもの問題

藤原沙来(19)

 「1990年比で2020年までに、温室効果ガス25%削減を目指す」
 2009年9月22日、鳩山由紀夫首相は国連気候変動首脳会合にてこのような中期目標を表明した。麻生前政権が示した「2005年比15%削減、1990年比8%削減」よりも大幅に踏み込んだ目標を国際公約としたことで、大きな責任を担うこととなった。
一方で、産業界からの懸念の声があがり、具体的な行動が提示されていない点や他の政策との兼ね合の矛盾点に対する指摘など、様々な評価がされている。

 COP15が2009年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催される。2013年以降の地球温暖化対策を決定し各国の同意を求めることを目的とした締約国会議のことだが、これにジャパンタイムスのジュニア記者として参加する1人として、気候変動問題改善に取り組んでいる環境NGOに話を聞き、削減目標に向けてどう今後どう活動していくのか、若者はこの問題にどう向き合っていけば良いのかなど注目してみることにした。

 今回はWWFジャパン・気候変動プログラムリーダーの山岸尚之氏に取材をした。
 「今までの日本政府の環境への取り組みは十分ではなかった」と山岸氏は言い切った。目標を達成するには、「本来もっと努力をするべきであった。数値的な目標を掲げるだけで政策を練らなかったことが要因」だと見ている。そのため、新たに掲げられた目標達成を目指し、WWFはすでに動き出している。

 日本の二酸化炭素排出量のうち約8割は企業・公共部門から排出されていると言われる。WWFは数多くあるプログラムの1つ、“クライメート・セイバーズ”を通して企業とパートナーシップを結び、温室効果ガスの削減目標を掲げてもらい削減実行を促し、さらには検証をするという活動をしている。「社会にアイデアを提案して、人に影響を与えていくことも改善への方法」と山岸氏はNGOとしての役割を語った。

 気候変動問題は、20年後、50年後の目標を掲げても、今その結果を予想することは誰もできない。私たちが引き起こした問題を手遅れになる前に改善できるのは今を生きる私たち自身である。ところが、改善方法として挙げられているのは、温室効果ガス排出量取引制度やグリーン電力の普及率を上げることなどで、将来社会を担う若者が今身近に取り組めそうなものが少ない。将来社会を作っていく若者は今からこの問題と共に歩み、真剣に向き合わなくてはいけないのにも関わらず、その方法がなかなか見えない。

 若者として改善のために何ができるのであろうか。山岸氏は「まず、身近な省エネを心がけてほしい。次に、社会に変化をもたらせる存在になってほしい」と話す。1年間で各家庭から二酸化炭素は5.4トン排出されている。その二酸化炭素は何をすることで排出されているのか把握して削減努力をしていく直接的な方法がある一方で、環境に配慮した商品の購入や家族・友人と気候変動について話し、周りに少しでも気候変動に関心を持ってもらう機会を作る間接的な方法の2つをやってほしいと言う。

 また、「地球環境問題は、政治・経済・社会・自然科学・文学など多くの分野にまたがっている。限られたものばかりに目を向けるのではなく、柔軟な広い分野に渡る沢山の知識が求められる問題だ。様々な地球環境問題を意識して国際的な感覚を身につけてほしい」と若者へメッセージを送った。

 山岸氏は「若者に働きかける方法として、コペンハーゲンでの合意へ向けた意思表示となるVote Earthというキャンペーンや、mixiアプリを利用したものなどもあるので、これらを広めていってほしい。周りを巻き込んで活動してほしい」と、若者がより積極的に活動することを期待しているようであった。

 気候変動問題の影響は実感しづらく、影響も目に見えにくいため行動が伴いにくい。「温暖化は止められない。WWFは気候変動による被害が出た途上国のために適応対策をとれるよう考えている」と山岸氏が言うように、温暖化は日々着々と深刻化しているのである。

 遠い将来の温室効果ガス削減数値目標を掲げて世界に評価され満足するのではなく、WWFが要請したように、具体的な行動案を把握し、すぐに実践していくことが今の私たちには必要だ。目標として掲げた以上、それで満足するのではなく達成できるよう厳しい努力をしていかないといけないのである。1人でも多くの人が気候変動問題に関心を持ち、改善に向けて行動し、目標を達成できるよう、政府も含め積極的に活動していく必要がある。

 気候変動問題は、“将来の問題ではなく今の問題”なのだ。同時に、“大人にとっての問題ではなく、将来社会を形成する若者にとっての問題”でもあるのだ。

 「若者への直接的なアプローチはWWFでもまだできていない」そうだ。もっと積極的に問題改善に向けて取り組むために、気候変動について1人でも多くの人、特に若者が認識し、広めていき、自分たちの将来のために活動しなくてはいけない。一日も早く。どんな方法であっても。

 自分たちの将来をより良くするための責任は、今を生きる若者にかかっている。


環境NGOの役割って?

三崎友衣奈(17)

 現在、環境問題は世界中の人々を巻き込んでいる。多くの企業や国がエコ対策に追われ、社会的、国際的義務を問われている。では、環境NGOはそれらにどうやって関わり、どのような行動をとっているのだろうか。
 
 世界自然保護基金(WWF)は、世界100カ国以上で約500万人のメンバーが環境保護活動をしている世界最大規模の自然保護団体だ。今回、WWFジャパン自然保護室気候変動プログラムリーダーの山岸尚之氏に話を聞いた。山岸氏はWWFの役割として、実際に世界各地で生物や自然の保護や温暖化対策を進めることの他に、企業や行政に制度の強化を求める活動をあげた。

 クライメイト・セイバーズというプロジェクトは、企業との協賛関係を通じて会社の環境対策を強化するという企画である。企業側からみると、自社だけで温室効果ガスなどの削減をするよりも、第三者のNGOが監視している中での削減に意味があることから、WWFは多くの国内外の企業と提携している。WWFジャパンとしても、実例を持って他企業に制度を求められるという利点があると山岸氏は胸を張る。

 また、行政への活動については「私たちが政府により厳しい目標を求めることで議論の幅が広がる」と意義づける。たとえば日本の温室効果ガス削減目標に関しても、WWFから行政に厳しい数字を提案することで、議論の中で基準となる数値目標を上げる役割を果たしているという。

 ただ、このような環境NGOは活動内容や知識が専門的になってしまいがちで、一般の人や特に若年層への知識の普及がこれからの課題だと山岸氏は対応の難しさも語る。
 アイデアは模索中だ。WWFジャパンは10月からSNSの「mixi」でアプリケーション「little planet」を始める。このアプリではバーチャルの日常で行った省エネなどのエコな生活がそのまま幻想の自然世界に繁栄され、画面上に緑や動物が増えたりする仕組みだ。若者の環境問題への意識を高める目的だが、その効果はどこまで上がるか分からない。ただの「理想」として終わってしまう懸念もある。山岸氏は、「私たちがやっていることはあまりに専門的で日常生活から離れてしまっていて、若い人たちへの普及が十分でない」ことを指摘し「高い敷居を下げて、興味を持ってもらった人たちが中心となって世代の輪を広げてもらう」ことが最終的なねらいだと語った。

 現在、WWFが一般の人に環境問題の危機を伝える目的で行っているのが、「温暖化の目撃者」という活動である。この活動では科学的にみて温暖化の影響を受けている世界の多くの地域に実際に足を運び現地の人に取材し、それを発信している。「環境問題の意識の難点は、今出したCO2がすぐに私たちの生活に悪影響を及ぼすのではなく、数年後、数十年後に、遠く離れた地域の人々に害を及ぼすこと」。これを知ってもらうために、実際に現地へ行き影響を受けている人たちがいることをリアリティをもって伝えているという。

 12月にコペンハーゲンで行われるCOP15でも議論では専門用語や詳細なデータが飛び交う。これに出席する多くの関係者の中で「議論で何が起こっているか」を的確に捉え、且つそれを何からも干渉を受けずに発信できるのはNGOだからこそ可能である。専門的な知識を持って環境保全や様々な機関へのはたらきかけをするとともに、やさしい言葉で理解しやすいよう人々に伝えていく活動がより活発になることに期待したい。


若者にもできるCO2削減

宮澤結(16)

 民主党による2020年までに1990年比で25%の温室効果ガス排出量を削減する政策が掲げられている現在、テレビや新聞で「気候変動」という文字を目にする機会は以前より多くなった。それだけ注目されているということなのかもしれないが、気候変動問題に対し取っ付きにくかったり、実際何をしていけばいいのかわからない人もまた多いように思う。

 そんな中、日本には温暖化などの様々な環境問題に取り組む環境保全団体がある。
 それが今回取材を行った財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンである。

 WWFは、絶滅の危機にある野生生物を救うために設立された団体で、野生生物が生きる上で必要な地球環境の保全を目指して地球温暖化対策にも活動範囲を広げ、取り組んでいる。私たちチルドレンズ・エクスプレスは温室効果額排出量25%削減についてWWFジャパンが取り組んでいること、そして私たち若者が出来ることを伺った。

 WWFジャパン気候変動プログラムリーダーの山岸尚之さんは、活動について主に3つ挙げた。
 一つ目は、気候変動に関する政策決定の提案を政府に出すことだ。NGOであるWWFが具体的な政策・対策を提示することで、よりたくさんの意見が反映されることになる。時によっては環境省や財務省、外務省にも個別に提出することもあるという。
 二つ目に、環境対策を進めている世界の企業に対し、積極的に温室効果ガスの排出削減を呼びかける「クライメート・セイバーズ・プログラム」を行っている。これはWWFと企業が協力し、企業として発展しながら同時に温室効果ガス削減も達成していくプログラムだ。ナイキ、ソニー、佐川急便などがこのプログラムに参加しており、今も参加企業は増え続けている。
 三つ目としては地球温暖化の影響を受けている人々の声を集めてWWFのホームページや機関誌など、様々な媒体で声を届けていく「温暖化の目撃者達」プログラムだ。温暖化の被害を直接に受けないと、地球温暖化問題が他人事のように感じてしまうが、既に被害を受けている世界各地の人々の声を聞くことで温暖化をよりリアルに感じることが出来るからだ。

 WWFが、政策決定をする政府機関、企業、そして一般の人々にそれぞれに働きかけていることはわかったが、私たち若者にとって気候変動はやはり遠く感じてしまう問題だ。

 私たちが25%削減に対し出来ることはないのだろうか。

 山岸さんによると、温室効果ガスは一世帯で年間約5.4トン排出されるという。電気、ガソリン、ガスの節約はすべてCO2削減に繋がるので、使わない部屋の電気はこまめに消す、シャワーを出しっぱなしにしないなど、生活の中の身近な省エネから減らすことが出来るそうだ。

 そしてもっと大切なのは、生活の外での削減だ。買い物をするときにその製品がCO2削減に繋がるのか、製品がCO2を意識している会社が製造しているのかを確認して買うことだという。製品は洋服でも文房具でも何でも良い。企業にとって消費者の声というのは一番届くそうだ。その理由について山岸さんは「企業は消費者が買ってくれないことが、一番恐いのだから」と言っていた。また、買わないだけでなく企業のアンケートに意見を書くことも有効な手段だ。

 このように間接的であっても、25%削減に貢献することが出来るのだ。実際に気候変動問題で将来被害を受けるのは大人ではなく今の子ども達だ。地球温暖化は今も進んでいるのだから「取っ付きにくい」とか「わからない」から何もしない、では通用しない。
 一人ひとりが「気候変動問題」を知ることが大切であることを確認できたインタビューだった。


見えない痛みを想像する

富沢咲天(14)

 自民党から民主党へと政権が移った。次々と新しい方針を打ち出している鳩山首相がCO2の25%削減を世界に表明したことは画期的なことではないだろうか。
 12月にコペンハーゲンでCOP15(国連気候変動枠組締約国会議)が開かれるにあたって、世界約100カ国で活動している有名な環境保全団体のひとつ、WWFジャパンの自然保護室・気候変動プログラムリーダーの山岸尚之さんに話をうかがった。 

 まず、日本政府の環境に対する取り組みについて評価してもらった。地球温暖化にしぼっていえば、政府の努力は不十分であるとの意見だ。1997年の京都議定書で、2008~2012年の間に1990年の温暖化ガスの水準から6%削減する約束だったが、2007年のデータでは9%も増加している。「この結果は努力したがだめだったのではなく、努力が不十分だったから増加したのである。削減のための法律を作るべきだった」と山岸さんは言う。

 経済界など色々な人達がCO2の25%削減に反対している。しかし、山岸さんは25%削減は可能であると言う。CO2排出量が多い石炭の使用量を減らしたり、日本の住宅の断熱を改善し、冷暖房の電気使用量を減らすなどをすれば決して25%削減は不可能ではないという考えだ。日本はこれ以上の省エネができないと言われる例に、「乾いた雑巾」という言葉がある。しかし日本の工場などの設備は全て最新のものというわけではない。企業は費用がかかるので設備投資をしたがらないが、新しい設備にすることで雑巾はまだまだ絞れて、CO2は削減できるそうだ。

 25%削減のためWWFが取り組んでいることは何かを聞いた。
 山岸さんによれば、WWFは政府の政策決定(ルール作り)に関わったり、国会議員や官庁などに意見を出す、あるいは産業界に “クライメ-トセイバーズ”を実行してもらう取り組みなどをしているそうだ。クライメートセイバーズとはそれぞれの企業の削減目標を話し合って設定し、目標達成を約束してもらうことだ。また、リトルプラネットというミクシーのミニアプリゲームや、COP15に向けてVote Earth(webに登録して意思表明をすること)なども若者向けに企画している。

 25%削減に対して、若者一人一人ができることもたくさんあるという。例をあげれば、電気をつけっ放しにしない、シャワーの時間を短縮する、公共交通機関を利用するなど、おなじみの電気・ガス・ガソリンの節約。また、何かを買う時にそれはエコ商品か、その会社は環境に配慮しているかなどを見る。そして商品アンケートなどで、私たちが環境を意識して商品を買うことを企業にアピールする。今は子どもでもあと数年で選挙権を持つようになったら、環境問題に熱心な政治家に注目するなど政治の面から温暖化防止への流れを作ることもできるという。これは新鮮なアイデアだ。

 今回の取材で「25%」は決して不可能な数字ではない、ということが実感できるようになった。いくら個人が頑張って節約しても大きな工場がたくさんCO2を排出していたら、自分の努力は意味がないと悲観しがちになっていた。しかし、温暖化対策に後ろ向きだったブッシュ大統領にかわり意欲的なオバマ大統領になったように、また、削減に向けて低い数値目標しか出せなかった自民党から25%の数値目標を表明した民主党にかわったように、すべてはひとりひとりの意志の力で世界は変えられるのかもしれない。子どもだから、選挙権もないからと言わず、発信すること、行動することをこれからも続けていくべきことを知った。

 温暖化対策にはまた想像力も重要だ。山岸さんが言っていたが、先進国に暮らす私たちにとって、身近に温暖化の影響はなかなか見えにくい。温暖化による被害はだいたい途上国や社会的に弱い立場の人たちに集中しているからだ。

 例えば海面が上昇すると、沿岸部の土地が水没してしまう。経済力のない小さな島の人たちには、どうすることもできない。温暖化の影響でサイクロンやハリケーンなどが巨大化すると、防災対策が不十分な途上国では何万人もの人たちが嵐の被害にあう。氷河が融けると洪水が起こり、その後は水不足になってしまう。気温が上昇するとマラリアなど熱い地域の病気が広まり、病院に行けない人たちの多い途上国で死亡率が高くなる。そして農業もダメージを受け飢える人たちが増える。

 被害が深刻なのは、途上国のなかでもさらに弱い立場の子どもやお年寄りだ。彼らはCO2などほとんど出していないのに温暖化の影響は真っ先に彼らを直撃する。
 先進国に住み大量のCO2を排出している私たちはこのような現実が見えないから知らない、関係ないではすまされない。

 見えないことを想像する。想像することは、苦しんでいる人たちの心に寄り添うことになる。被害を受けて苦しんでいる人たちの気持ちを想像できれば、もっと積極的に温暖化対策に関われるのではないだろうか。

 地球の環境問題は政治・経済・社会・自然科学など色々な分野が複雑に関わっており、解決には色々な分野の知識・理解が必要になる。これからこの問題に取り組む若い人たちは、頭をやわらかくして様々なことを受け入れる心構えと国際的な感覚、社会のいろいろな問題に対して積極的に関心を持つことが重要だと山岸さんはアドバイスする。
 期待をよせられた若者の一員として、自分にできることを着実に実行していきたい。


努力を続けるWWF

飯沼茉莉子(13)

 今回、世界約100カ国で活動しているWWF(世界自然保護基金)の山岸尚之さんに活動やCOP15に向けての取り組みについて取材した。
 まず、日本政府の環境に対する取り組みについて、「1997年の京都議定書で掲げた2008~2012年までに二酸化炭素排出量を6%削減する事にしていたが、2007年の時点で逆に9%増加してしまいました。日本政府は部分的な法律や、個人的な削減目標を作らなかったためにやらない人が出てきてしまったからです」と山岸さんは語った。

 次に、経済界が反対している25%の削減目標を達成できる理由が三つあるという。1つは、麻生政権が中期目標を決める時、目標検討委員会が25%削減だと経済成長が遅くなり非常に難しいが、出来ないわけではないという結果がでている。2つ目は、1990年以降日本は化石燃料のうち一番CO2の排出量が多い石炭を大量に消費しているので、石炭の消費量を減らす努力をすればもっとCO2の排出量が減らせる。3つ目は建物の断熱基準がよくなると、冬は冷たい風が入らず化石燃料を使う量が減るため、CO2削減になるそうだ。

 25%削減に対して若者一人ひとりが出来ることは、「身近な省エネ、例えば電気代やガス代、ガソリン代につながることをすれば削減になると思います。また、物を買う時にはその製品が環境に優しいか、製造している会社は環境を理解しているかなどを少し意識するだけで変わると思います。親子の会話の中で環境問題について話すだけで、大人は少し考えるようになると思います」と語った。

 日本の若者たちに対しては、「もっと積極的に環境だけではなく、社会に関心を持ってほしいです。自国だけではなく他国の環境問題について知るためにも国際的なふれあいが必要だと思います」と語った。

 COP15では、「新しい国際条約の内容が、WWFが掲げている目標の地球の平均気温を2度未満に下げられるかを訴えます。しかしそれを達成するには、2050年までに世界で80%CO2を削減しなければいけないので、途上国にも15~30%の削減をしてもらわないといけません。そのためには、途上国への適応対策が必要です。」そして
 「現地ではロビー活動や展示をしてメディアにアピールしたりCANが出すニュースレターの中で色々なことを伝えます。」と語った。

 温暖化防止に向けて日本のこれからの社会環境については、「今は限られた地域で発電をしてそれを色々なところに送っているので、これからはよく熱を使うところで熱を作る分散型社会になるといいですね」と語った。

 日本の環境NGOの「WWFジャパン」も「気候ネットワーク」も同じ思いで地球温暖化を止めようと努力していることがわかった。これからも私たち若者のために、努力を続けてほしい。一方若者たちは自分たちがどのような状態に置かれているか、そして大人たちがどれだけ自分たちのために真剣になっているかということを知るべきだ。

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