立命館大学BohNoについて
記者:Nili Fukumoto(14)
立命館大学のBohNoという食品ロスや食育などを行っている団体をご存知だろうか? 対象である小学生と歳が近い、20歳前後の大学生だからこそできる食育もある。食品ロスの削減も、学生の視点で呼びかけられるほぼ唯一と言っていい世代が大学生だ。本記事ではBohNoについて紹介する。
そもそもBohNoとは&代表の池元さん
BohNo(ボーノ)は立命館大学の学生団体だ。2021年に結成され、現在は立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県)にある食マネジメント学部*の学生たち66名で活動をしている。主に1回生、2回生、3回生(大学1年生〜3年生のこと。関西ではこう呼ぶ)で構成されており、団体の幹部は2回生が担う。今年の1回生のメンバー募集では、志願者が多かったため、選考を行った程の人気の団体だ。
*立命館大学 食マネジメント学部: 2018年4月開設。食の社会的なあり方や、文化的・歴史的な背景、自然科学的な知識までを経済学・経営学を基盤としながら「マネジメント」「カルチャー」「テクノロジー」の三つの領域から学ぶ。(HPより)
代表の池元優妃奈さんは立命館大学の食マネジメント学部の2回生。もともと「食」に興味があったが、食育や食品ロスについて学びたいと思い始めたのは、BohNoに入ってからだという。
BohNoの活動は三つある。一つ目は「食育イベント」。子ども達がSDGsや社会問題に興味を持つきっかけとなるような場の提供である。例えば「BohNo Cafe」と称する食育イベントを定期的に開催している。二つ目は「食品ロス削減」だ。賞味期限切れなど食品ロスになってしまった商品の販売や啓発活動を行い、食品ロス削減を促す活動である。三つ目は「商品開発」だ。これは規格外野菜のようなロスになりかけている食べ物を使った商品やレシピを開発することを指している。
これら三つの活動は、互いに関わりを持ちながら進めているので、例えば、食品ロスと食育イベントを掛け合わせた「規格外野菜で福笑い」といったアイデアが生まれることもある。
「BohNo」とは“Broaden our horizons、 no obstruction”という言葉からきている。直訳すると「障害なく視野を広げる」という意味だ。初代代表の樋口陽香さんが貧富の差を海外で目の当たりにしたことがきっかけとなり、「子ども達が貧富など関係なく視野を広げられる経験ができるように」との思いから団体名がつけられた。
食育について
私(記者)は、小中学生を対象とした給食における食品ロスを削減するアプリの開発に取り組んだことがある。アプリに食育要素を取り入れる際に苦労したので、食育における工夫についても伺った。
「まず、どんなスライド・教材にもふりがなを使い、難しい漢字は絶対に使わないことです」と池元さん。BohNoの食育イベントは主に小学生を対象に行われており、参加する児童の学年は様々だ。小学6年生には読める漢字だとしても、小学1年生が必ずしも読めるとは限らないのだ。確かに、全てのものをどんな児童でも簡単に読めるものにする必要があるだろう。
そして二つ目の工夫は、「簡単に実行できる方法を導入して、難しい社会課題を説明すること」。例として最近開催した「ローリングストック」を使ったイベントを池元さんは挙げてくれた。「ローリングストック」とは、日常生活で災害時用の保存食を食べることで、災害時になって初めて食べたら口に合わない、災害時に食べようと思ったら賞味期限が切れていたなどの問題を解決する手段だ。
イベントでは、乾パンを使ったティラミスを子ども達と作った。「子どもの時にこういったイベントを通じて、実体験として印象に残してもらいたい」と池元さんは話す。食品ロスという大きな社会課題に対して、ローリングストックという比較的敷居の低い解決手段から語ることで子供たちに理解してもらうのだそうだ。
商品開発について
三つ目の「商品開発」はどのような活動だろうか。ホームページに掲載されていた「メロンチーズマリネ」についてお話を伺った。
この商品は草津市で行われた山田メロンまつりのために開発された。イベントでは、なんと無料で来場者にプレゼントしたのだという。山田メロンまつりはBohNoのメンバーが所属する食マネジメント学部がある草津市で開催されており、「冷凍メロンとしてストックされたメロンで新しい風を吹かせてほしい」とメロンを提供いただき実現した。立命館大学では地域に根ざした活動を数多く行っており、そのネットワークで企業や外部団体と繋げてもらえる機会があるとのことだ。また、2024年の活動としては「メロンジャムクッキー」と「メロンラスク」を提供したそうだ。
今後について
BohNo・池元さん自身の目標について伺った。「BohNoは、栄養バランスなどの普通の食育ではなく社会問題も交えた世界規模の話の食育を引き継いでいきたい。またメンバーのやりたいことを叶えたい。個人的には将来は、生産者もよし・お客様もよし・自分もよしの”三方よし”の仕事をしたいですね。」
取材後記: 風邪でうまく喋れない中でのオンライン取材でしたが、池元さんが大学2年生ということで年齢が近く共感する部分も多かったです!
自己紹介: 「食」を軸に活動をしている中学3年生。現在はinochi Gakusei Innovators Program 2024にも参加している。